| 空木（うつぎ） |
当所へ工場が移った当初から 気になっていた樹木があります。
裏鬼門に植わっている南天の隣に 今時分の季節になると ひっそりと咲く 卯の花に似た花です。
でも ずっと名前が判りませんでした。
卯の花だと思えなかった理由は 佐々木信網作詞の 「夏は来ぬ」 の歌にあります。
～ 卯の花の 匂う垣根に ほととぎす 早や来鳴きて 忍び音もらす 夏は来ぬ・・・
～
この歌を口ずさんで頭に浮かぶのは 音楽の教科書に載っていた 白い卯の花です。
きっと 卯の花はいい香りのする白い花に違いない、そう 思い込んでいたからです。
問題の花は 濃いピンク色で 香りもちょっとパンジーに似ていて 僅かにむっとする
決していい香りとは言えません
５月になると決まって たくさんのかわいらしいピンクの花を そっと咲かせる
この木が
なぜか かわいそうでなりませんでした。
つい最近 知り合いの植木屋さんに この木の名前を尋ねる機会を得ました。
空木（うつぎ）だというのです。
太い枝は 中空であることを確かめました。小枝は硬く 木釘に適していそうなことも確かめました。
空木だと 確信しました。
「空木」 を辞書で調べたら 「卯の花」 とも言うとあります。
やっぱり卯の花だったんです。 ピンクの卯の花があったんです。
やっと自分の分身であることが判ったような 安堵な気持ちになりました。
これからは もう引っ掛かることなく この木に接することができます。
～ 卯の花や 安住の地ぞ 裏鬼門～ （佐々連）
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