| 山茶花 | 
           
          
             
             
             
            
      花のなる木が少ない冬に、鮮やかな紅色で 一隅を華やかす山茶花。 
      ほとんど陽の当たらない 植え込みの片隅で、ひっそり咲いています。 
       
      白い山茶花が多いのに、新築時の庭師の配慮からか、濃紅の山茶花です。 
             
             
               
             
             
            むかし住んでいた家の 猫の額のような中庭の手水鉢の前にも、 
            赤い山茶花が植わっていました。 
       
            山茶花の花が 手水鉢の水面に写っているのを勺で乱すのが、 
            なにか悲しい気がしたのを 憶えています。 
       
            祖母が、日向ぼっこを兼ねて 縁側からこの山茶花を見ていました。 
      理科で習いたての樹木にあった椿の花に似ていたので、手水鉢越しに 
      「これ、ツバキか?」 と 祖母に尋ねました。 
       
      「それはサザンカや」 
      「ツバキと どう ちゃうの?」 
      「ポトンと落ちるのがツバキで、パラパラ散るのがサザンカや」 
       
      山茶花の赤い花を見ると、50年も前の情景が いまも鮮明によみがえってきます。 
             
             
             
             
             
            
             
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