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正月の梅



正月11日のきょうは、鏡餅に庖丁を入れるのが常でした。
でも、このころまで鏡餅を置いておくと
庖丁の刃が入れにくくなるので、
最近では 4日に鏡餅を割ってしまいます。
しきたりより実利、というところでしょうか。

暖冬と思っていたのに この寒さ、こたえますね。
とはいうものの、幼かったころの思い出には
もっともっと寒い冬の情景と感覚が残っています。

寒い寒いといいながらも、ぼくは
凍てつくようなこの寒さが好きです。
底冷えは、京の無形風物詩です。

会社の南東の片隅に、ささやかな築山があります。
その築山のあるじ・紅梅が、花をつけました。

寒々しい裸の枝に 紅の花を咲かせて立つ梅の木は けなげで、
古くから日本人に愛されてきたのも道理だと思います。

夜道を照らす月の明かりを尊んだ いにしえびとの心に、
通ずるものでしょう。

土筆が霜柱を割って芽を現すのをいとおしむように、
極寒の青空に起立する梅の花を、
ぼくは限りない愛着をかんじながら
寒さを忘れて眺めています。





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