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ああ!阪神タイガース

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10月21日、セ・リーグのクライマックスシリーズ第一ステージ 第三戦。

中日と 0対0の同点で逃げ切れば ジャイアンツにリベンジできるチャンスがある、その望みは、9回表2死三塁 カウント2-3という場面で、藤川の150kmの直球をとらえた 中日4番ウッズのホームランで潰えた。

試合後の岡田監督の 「打たれたのがお前(藤川)でよかった」 という言葉には、偽りはないであろう。

それにしても、である。
悔しい。
10月21日からの数日は、何をするのも うっとうしい気分で過ぎた。


評論家きどりになる気は さらさらないが、これだけは言わせて欲しい。
あれだけ独走態勢にあったペナントレースの我が阪神タイガースが、なにゆえ ミラクル逸優勝に泣いたのか、
そのポイントは、一にも二にも 新井の北京オリンピック出場に在る。

ジャイアンツの3番 いつもガムをくちゃくちゃ噛んでいる小笠原は、ペナントレースの前半 体調不良で不振であった。
真偽のほどは知らないが、星野仙一からのオリンピック出場要請を断って 体調回復に努めたと聞く。

片や タイガース3番の新井は、ペナントレース前半のタイガース快進撃の立役者だったが、オールスター戦前からの腰痛で オリンピック直前では スターティングメンバーからも外れなければならない状態だった。

なのに、これも真偽の程は分からないが、人の好い新井は、日本代表チームの4番打者などと 星野仙一におだてられて 無理を押してオリンピックに出場し、 生真面目に一生懸命やったものだから 腰の故障を悪化させてしまう。

9月のジャイアンツとタイガースの打線の差をみれば、オリンピック出欠のこの両者が いかに大きな鍵であったかが歴然である。
調子が尻上がりに戻ってきた小笠原の連夜の活躍、一方 新井を欠いた 「点の取れない」 貧打線。

10月に入って、岡田監督は リハビリ中の新井を無理矢理復帰させ、停滞する打線のかなめに据えなおそうとしたが、新井の調子はついに戻らず仕舞に終わった。

それでも私は、新井が大好きだ。
彼の野球センス、野球に対する情熱、真剣なまなざし・・・
10月19日のCS初日の対中日戦、8回裏の好機に一邪飛に倒れた新井は、天を仰いで 己の無力を悔やんだ。
それを見て、私は涙が止まらなかった。
仕方ない 仕方ない、そう そばで囁いてやりたかった。


今シーズン 初めて首位の座を明け渡した、10月8日の 阪神・巨人戦。
2点を追うタイガースは 6回の満塁機に、ピッチャー内海 対 私の最も愛する矢野。
ファウルで粘って 押し出しの四球を選んだ矢野は、ガッツポーズ。

このガッツポーズを、某評論家は プロなら苦虫面を通すべきだったなどと評したが、この矢野を侮辱した論評に 私は腹煮えくり返ったものだ。

1点が喉から手が出るほど欲しかった あの場面、必死のパッチで選んだ四球を 褒めこそすれ、どうして貶せるものか。
それほど、あの頃 タイガースは苦しんでいたのだ。


まさかのペナントレース敗退となった10月11日、そして その直後の岡田監督辞任表明、それでも私は クライマックスシリーズに望みを託した。
岡田の花道を 選手全員で飾ってやってくれ!
祈るような気持ちだった。
夢は潰えた。
仕方ない 仕方ない。


ああ!阪神タイガース。
どら息子ほど かわいいというが、お前は どら息子ではない。
よくぞ最後の最後まで、ファンを思いっきり楽しませてくれた。
良くやった。

ありがとう、阪神タイガース。