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定額給付金なるもの

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小泉純一郎元首相が 「自民党をぶっつぶす!」 と叫んで 日本中が小泉節に酔ったのは、もう8年前になる。
「郵政解散」 と命名し 衆議院の解散総選挙で自民党議席を圧倒的に増やしたのは、まだ4年前にもならない。
あのときの世論は、いま冷静に考えれば、情緒的 「気分」 の要素が強かったように思う。


『輿論と世論』を著した 佐藤卓巳京大准教授は、先日 新聞紙上で、“民意”というテーマに関連して、次のように語っていた。


・・・つまり、世論調査を通じて表れる民意とは「意見」というより、その時々の情緒的参加による「気分」(空気)に近い。
意見と気分。
人の内面で区別しにくいものではあるが、最大の違いは 「時間」 にある。

意見は、自分で考え、他人と議論を重ねてじっくり作り上げられるものだ。
だからある程度の時間に耐えられる。
政治の領域で言えば、外交はまさにそうあるべきだ。

意見に比べて熱しやすく冷めやすい気分に左右されると、ブッシュ政権の対テロ対策のように 行き詰まってしまう。・・・



いま国会では、第二次補正予算案をめぐって 定額給付金が焦点になっている。
この定額給付金のことだが、言葉尻をとらえるわけではないが、「給付」 ではなく 「還付」 と言うべきではないのか。
まあ それはともかく、わたしも もちろん たとえ1万2千円でも 欲しい。

しかし いったん国庫へ納めた税金を、莫大な費用と労力をかけて 「給付」していただくよりは、 もっと有効な個所に賢明な方法で使ってもらった方が良い、と いまこの時点では思う。

なるべく偏りなく無作為に抽出聞き取り調査した中から2000人を これもランダムに選んで はじき出した「世論調査」で、その7割近くが わたしと同じ思いである、という結果が出ている。
この調査結果は、あの小泉劇場で酔いしれた挙句の 「世論」 とは 明らかに異質のものである。
世論調査結果とは言え、これは 佐藤准教授の言う 「輿論」 あるいは 「意見」 に近いものだと思う。

なぜ、二次補正案を定額給付金から切り離して考えないのか。
民主党もそれなら賛成するといっているのだから、ほんとうに 「民意」 を重んじる内閣なら、定額給付金以外の二次補正案の最速通過に 全力を投入するべきだ。

こんなこと、政治のど素人でも 判る話しではないのか。

麻生太郎氏は、プライドの履き違えをしているとしか思えない。
麻生さんのごく近くに、普通の日本人の感覚を持った “影響人” がいてくれればいいのになあ。

定額給付金なるものに、素朴に感じる いまの気持ちです。