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国会中継から

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1月30日付け朝日新聞朝刊の社説 「代表質問 民主党の顔はどうした」 に、もの申したい。
社説の趣旨は、年頭の通常国会代表質問という大切な場に、なぜ民主党の党首である小沢代表が 質問に立たなかったのか、という非難である。

わたしは、いままで国会中継なるものを真剣にみたことがなかった。予め示し合わせた質疑応答の、空疎な儀礼的行事にすぎないと、考えてきたからだ。
はなから、あの場で 真摯な討論が行われることは、期待していない。

しかし、今回は、中継の最初から最後まで じっくり 「観戦」 した。
あえて 「観戦」 という言葉を使ったのは、テレビという最強のメディアを通して 全国放映される国会中継は、国民が いまの国会議員の 一挙手一投足のふるまいを監視できる唯一の機会、言い方は悪いが、いわば 「見世物」 だからである。

1月29日の国会代表質問は、間違いなく 民主党の勝ちである。
まず、質問者の役者が違う。次に、ひな壇に並ぶ大臣たちの 自信のなさ。
そして、野党的野次に成り下がった一般議員席の与党議員たち。

鳩山由紀夫民主党幹事長の代表質問は、的を得た どうどうたるものであったと、わたしは評価する。
民主党二番手の田中真紀子氏の代表質問には、大多数の 「観衆」 が 喝采を送ったのではあるまいか。

問題は、自民党代表質問者の細田博之幹事長である。
こんな言葉を使いたくないが、あれは 「アホ丸出し」 の醜態だ。細田氏は、いまは 内閣の人間ではない。
あの場での彼の役割は、三権分立に基づく国会議員としての 内閣政府に対する代表質問であるはずだ。
まるで、自分が総理大臣であるかのごとき、また このときこそ宿敵民主党に日頃の鬱憤を晴らす場とのごとき、品位も知性も感じられない、なさけないとしか言いようがない 「代表質問」 であった。

自民党議員で 森元総理と一二を争う国民的不人気議員を 質問者に立てた自民党は、最初から 勝負を投げ出していたのでは、と思いたくなる。
失礼な言い方だが、あんな人格的欠陥人間を自民党幹事長に任命した 麻生総理の気が知れない。

いや、細田博之という議員を国会に送り出したのは われわれ国民なのだから、 一番反省すべきなのは 有権者の わたしたちなのかもしれない。


朝日新聞社説は、あの場で どうして民主党の 「顔」 である小沢代表が出てこないのか、という論点だが、どうせ碌な論戦になることなど考えられない 「代表質問」 に 民主党として最も効果的な 「顔」 を立てたということは、わたしは間違っていなかったと思う。

小沢一郎という男は、わたくし的にはあまり好感を持っていないが、今回の彼の作戦は図星であったと評価してあげてもいいのではないか。
あのタイミングの社説なら むしろ、国会の品位を汚した 細田自民党幹事長の言動を非難すべきだった。

朝日新聞は左寄りとの非難を、よく耳にする。
もし この社説が、この非難をかわす一種のカモフラージュならば、朝日新聞らしからぬ作為である。
そうでないことを願うと同時に、社説こそ 新聞の 「顔」 であることを、改めて認識していただきたい。