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麻生総理、もっと憲法を勉強して!

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麻生太郎という いまの日本国の総理大臣は、日本国憲法をしっかり読んだことがあるのだろうか。

ソマリア沖への自衛隊派遣をめぐっての 麻生総理の発言を聞いていると、そんな危惧を抱きます。
野党も なぜ、総理発言の 憲法からの乖離を突かないのか、わたしには理解できません。

日本国憲法は、日本国民であることの 「基本的な約束事」であって、いかなる法案であっても これに反することはできないはずです。

わたしは、現行の日本国憲法の「前文」を 心から大切に思います。
この「前文」には、その読みやすく判りやすい文章の中に、先の大戦でのあまたの無念と祈りが込められている、そう確信できます。日本国憲法の 「前文」は、わたしたち日本国民にとっての聖書だと思います。
そして、この “聖書”ほど強力な武器は、他にないのです。

この 「前文」に続く第1条から第99条は、「前文」で掲げる理想と目的を遂行するための いわば “道具”であって、「前文」こそ 日本国民が死守すべきバイブルなのです。
わたしたちは、『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意』したのであって、それが達成されるのであれば、わたしは、憲法第9条に拘りません。
しかし わたしたちは、過去の歴史から、これを達成するためには第9条が その手段として どうしても必要であると覚ったのです。

昨今の経済状況で苦境に陥っている人びとが 人口に乗り始めて、憲法第25条がクローズアップされていますが、問題の企業トップ達が 憲法 「前文」の精神を理解し これに基づいてその会社をリードしていたなら、いま苦しんでいる人々のおそらく大半は 救われていたはずです。

憲法の条文で あまり問題にされないのは、触れたくないからかも知れませんが、第1章「天皇」の第1条です。
昭和天皇も 今上天皇も そして美智子皇后も、人間としてすばらしいお方です。
こんにちの日本の繁栄は、このお三方に負うところが絶大だと思います。
それは、大多数の日本国民にとって 天皇の存在は非常に大きいからです。
ただ 過去の歴史は、天皇が国政に関与すると この国が乱れることを、教えてくれます。
憲法第1条は、この辺の微妙なバランスを 見事に消化してくれているのです。
その根幹の精神は、「前文」に掲げられた“主権在民”の理念であって、天皇といえども この理念を遂行する役割を担っていることを、はっきりと謳っているのです。


ソマリア沖への自衛隊派遣の問題に 戻ります。

自衛隊は、その成立過程から 多くの矛盾をはらんでいました。
いま、その存在の是非を問うつもりはありません。
それは、憲法第9条第2項に関わる問題です。
ソマリア沖への自衛隊派遣に関わって いま問いたいのは、第9条第1項の条文です。
『国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。』

イラクへの自衛隊派遣は 違憲だったと、わたしは 今でもそう考えています。
ただ イラク派遣は、実質的には戦争への協力ですが、“人道派遣”という装いをかぶっていました。
このあたりが 小泉元総理の賢いところで、アメリカへの配慮から派遣はするが“戦闘には加わらない”ために、比較的治安が安定しているとされたイラク南部の都市サマーワに その活動の範囲を限定しました。
“世界公益のための奉仕活動”という名目を、一応 拵えあげたのです。
小泉元総理が 憲法第9条第1項に拘った証拠です。

ところが ソマリア沖派遣は、日本関係船舶の護衛を主目的としており、はっきりした国益優先の自衛隊派遣です。
これは、明らかに 憲法第9条第1項に違反しています。
麻生総理の 憲法第9条第1項に対する配慮の無さを、露呈しています。
だから、冒頭のような疑問が 涌いてくるのです。

日本国籍の船舶を見殺しにするのか、争いごとの好きな輩は、きっと そう言うでしょう。
逃げればいいのです。
ソマリア沖を避けて、遠回りの航路を選べばいいのです。
そのためのコストアップは、日本が『武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』ことを宣言した証しを示す費用と 考えるべきでしょう。

憲法改正のための手続きを定めた国民投票法の施工まで、あと1年余りです。
わたし自身を含め、日本国民は、もっと自国の憲法に関心を持つべきです。
日本国憲法「前文」に込められた わたしたち親の世代の悲願を、読み取るべきです。

わたしたちの孫が 安心して住める日本を、いま、真剣に考えるときです。