YAMADA IRONWORK'S 本文へジャンプ
学者ボケの集団記者会見

文字サイズを変える
文字サイズ大文字サイズ中



「日本の頭脳、抗議の結集」。
いま 政府が行っている 『事業仕分け』で 科学技術予算が廃止や見直し、縮減対象になったことに異議を唱える ノーベル賞・フィールズ賞受賞者たちが、ずらりと並んで 記者会見している模様を、テレビ報道で見た。
はっきり言って、不愉快である。
なにを 偉そうに、と言いたい。


『事業仕分け』には、色々問題があると思う。
そのことと、「日本の頭脳、抗議の結集」とは、わたしの感覚からは、似合わない。
学者が 政治に口をだすな、とは言わない。
しかし、アインシュタインや湯川秀樹が、原爆使用反対運動に率先だって協力したのと、今回の 「抗議の結集」とは、まったく別物である。


はっきり言おう。
学問だけが、それも 理系の学問だけが、世の趨勢から切り離されて恩恵を受けることは、間違っている。
会見に列座した学者たちは、これまでも国の援助を 潤沢に受けてきたはずである。
ある意味 そのお陰で、ノーベル賞やフィールズ賞を与えられたと、言えなくもない。
今の国立大学や国立研究所の事情は よく分からないが、少なくとも 会見に列座した学者たちが学んだ時代には、贅沢すぎるほどの国のお金が 彼らに注がれたはずである。
だからこそ 彼らは、今の日本の現状をよく理解し、いまこそ この国の恵まれない人たちに思いを至らす立場にある。
それができないのなら、学者ボケの謗りを免れない。

あの会見は、政治の臭いがする。
もし そうでなくても、あんなふうに雁首揃えて記者会見すれば、そう勘ぐられても仕方なかろう。
金がなくても すばらしい学問の成果をあげることも、若い学者たちに授けるべき教育ではないか。
あれでは、さもしい圧力団体と かわらない。
もう少し、世間を知って欲しい。


まったく不愉快な記者会見であった。
唯一の救いは、あの場に 益川敏英教授が、いなかったことである。