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小日向文世さんの お父さん

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日曜日の朝は ゆったりした気分になれるせいか、毎週欠かさず読む 新聞のコラムがふえました。
朝日新聞の 「おやじのせなか」は、愛読しているコラムのひとつです。

けさは、ぼくの好きな俳優さん、小日向文世氏の文章でした。
子どもは、親の背中を見て育つ、といいます。
小日向さんの、あのほのぼのとした演技は、彼の育った家庭のぬくみで 自然に培われたものなのでしょう。

小日向さんも、お父さんの 「人間は平凡が一番だよ」という言葉に、若いころは反発していたようですが、ぼくも、小日向さんのお父さんの年齢に近づいて やっと、「平凡」であることのむずかしさとおだやかさが わかってきました。

小日向さんの最後の文章が、印象に残りました。


     父が亡くなった後、棚からきれいな箱が出てきました。
     「何が入っているのだろう」と開けてみたら 箱。
     その中も 箱、箱、箱・・・。
     最後の箱も空っぽで、みんなで大笑い。
     何も残してくれませんでしたが、すてきな生き方のひとつを教えてもらいました。



ひとつひとつの箱は、小日向さんのお父さんの いっしょうけんめい生きて来られた証しでしょう。
でも 最後は、空っぽ。
これこそ、「平凡」の真髄のような気がします。


あと何年生きられるのかは 誰にもわかりませんが、ぼくも、小日向さんのお父さんの小箱のように、ひとつひとつ ていねいに生き切りたいと思います。