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リハビリテーション病院

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五十肩をちゃんと直したくて、リハビリテーション病院に通っています。

暖かくなれば ほっといても治るよ と助言してくれる友人の言葉に 半分望みをかけて、もう半分は、やっぱり ちゃんとした治療をしたい気持ちで、週3日の通院が はや3ヵ月になりました。
ちょっとずつ良くはなっていますが、すかっとは いきません。


リハビリは初めてなのですが、ぼくなんか 療養士さんに申し訳ないくらい 軽い症状の患者です。
ここでは、普通に生活している分には 当たり前のことが、とても高い目標なんです。

歩くこと、座ったり立ったりすること、寝起きすること、床に落ちたものを拾うこと…
何気なく振舞っていたことが すごいことなんだと、療養士さんたちと患者さんたちとの ‘格闘’を、見ない振りして見ながら、痛感します。


リハビリテーション病院で、もうひとつ、ずしんときたことがあります。
当たり前のことなんですが、ぼくには新鮮な驚きでした。

これまで、病気や怪我は、お医者さんがなおしてくれるものと 思っていました。
病気や怪我は、自分が直すものなんだと、鮮明に意識できたのです。
バカみたいですが、ぼくには 大きな ‘悟り’です。

お医者さんに診てもらうとき、お医者さんと話せるのは、せいぜい5分くらいでしょう。
でも、療養士さんは、毎回20分以上かけて 看てくれるので、自然に親しく話ができます。

いま通っている病院では、ずーっと同じ療養士さんが看てくれるので、気心が通えるのです。
ここの療養士さんたちは、みんな若い。
そして、親切です。
三分の一くらいが、男性の療養士さん。
療養士さんたちは、いやな顔ひとつせず 患者さんたちの話に付き合ってくれています。
リハビリそのものが もちろん第一ですが、患者さんたちは、こういう他愛ない会話に ささやかなよろこびを見つけているに違いありません。

桜が散りだしましたね、と、担当の療養士さんに話しかけます。
どこかお花見にいかれましたか、と、療養士さん…
20分が、あっという間に過ぎていきます。


完全にもとには戻らないでしょうが、自分の体なんだから、最善を尽くすのは 当たり前です。
それが、いっしょうけんめい看てくれている療養士さんに対する 最高の礼儀にもなる、いま そんな気持ちです。