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テレビドラマ大好き

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テレビドラマ大好き人間のぼくにとって、このところのテレビドラマ不作で さみしい夜をすごすことが多かったのですが、ここへ来て 息を吹き返しています。


まず日曜日。
たいてい仕方なく(?)見ている NHK大河ドラマですが、「龍馬伝」は面白いです。
いままでの大河ドラマに匂っていた、NHK臭さがありません。
福山雅治のキャラも、いいですね。

続いて、毎日テレビ9時からの 「新参者」、これが面白い。
やっぱり 原作(東野圭吾著)がしっかりしたドラマは、スキをみせません。
毎回一話ごとに完結していながら、ついつい次回をみたくなる、そんな魔力糸を感じます。
主題歌にも惹かれます。
♪さよならは終わりじゃない♪ ではじまる、山下達郎の 『街物語(まちものがたり)』。
いい曲だなぁ。


月曜日、これはドラマでなくて トーク番組ですが、NHKテレビ10時からの 「こころの遺伝子」は、ゲストが誰かにかかわらず、欠かさず観たい番組です。
鶴瓶の 「A-Studio」に少々飽きてきたところだけに、笑福亭鶴瓶の親しみや笑いとは一味違う西田敏行の、司会の魅力が大きいです。
毎回のゲストが受け継いでいる “遺伝子”を、言葉の力として楽しんでいます。

関西テレビのキムタク月9 「Moon Lovers」は、DVDに収まったまま、未知数です。


水曜日10時からの読売テレビ 「MOTHER」は、“現代を生きる女性の「母性」をテーマにした社会派サスペンス”という触れ込みですが、子供の虐待という重いテーマにも 真っ向から取り組んでいます。
「東京ラブストーリー」や、いま放送中の 「チェイス~国税査察官~」の脚本を書いた、坂元裕二の作品です。

被虐待児を誘拐し、その母親になろうとしている鈴原奈緒(松雪泰子)に、奈緒を捨てた産みの親・望月葉菜(田中裕子)が、『ほんとうにその子の母親になれるの』と問いかける場面。
望月が 自分を産みそして捨てた母親だと まだ知らない奈緒は、こう答えます。
『この子の手が日に日にちょっとずつ大きくなるのを この手に感じるようになって、自分にもこの子の母親になれる力があるんじゃないか、そう確信したんです。』
坂元裕二をすごいと思うセリフです。
女性をちゃんと理解していなければ、普通の男が書けるセリフではない。

このドラマのキャッチコピー “母性は女性を狂わせる”は、女性でない男の独りよがり的な匂いもしますが、坂元裕二がこのドラマで伝えたい ほんとうのところなのでしょう。

被虐待児の怜南(変名・継美)役の女の子(何という名前の子役さんかなぁ?)、演技が実にうまい、恐れ入ります。


坂元裕二が脚本するもう一つのドラマ 「チェイス~国税査察官」は、土曜日の9時、NHKテレビ。
待ち遠しい、わくわくします。
男のドラマです。
このドラマにこそ、男脚本家・坂元裕二が輝いています。


5月4日が最終回だった、NHKテレビ 「八日目の蝉」について。
壇れいという女優さんは ぼくには苦手のタイプなので、このドラマの1回目は ほかにみるものもないしなぁ風に始まったのですが、最終回まで欠かさず観てしまいました。

最終回。
小豆島の草壁港で、赤ん坊の自分・薫(ほんとうは恵理菜、北乃きい)を誘拐して4歳まで育ててくれた野々宮希和子(壇れい)が、逃亡のフェリーを待っているところを 逮捕されたときの、遠い記憶。
あのとき、引き裂かれた薫に向かって叫んでいた、最後に聞いた希和子の声。
その声が何と言っていたのか、どうしても思い出せない。

その声の意味を、港で網を繕う漁師・篠原文治(岸谷五朗)から教えてもらった薫は、いっときに4歳児のころに戻った記憶で、泣き崩れる。
希和子に思いを寄せていた文治は、希和子が薫に最後に叫んだ言葉を、はっきりと覚えていたのです。

『もう少しだけ 時間をください。その子は、朝ごはんを、まだ、食べていないの』

涙が止まりませんでした。
家内が笑うんです。
いい年こいて、ほんとに変ですよね。
でも、このセリフには、ほんとうに参りました。
このセリフは、女性の作家にしか書けません。
角田光代さんに脱帽です。
映画やテレビでみてしまった原作は いままで一度も読んだことはないのですが、小説 「八日目の蝉」は買ってしまいました。

どうでもいいことですが、テレビドラマでは あのセリフを文治という島の漁師の口から言わせていますが、小説では 小豆島の海の色と香りで蘇えった薫の記憶として描かれています。
文字と動画の表現能力の違いを熟知した演出家の、名脚色だと思います。


テレビにかじるつく日々で、ますます夜更かし人間になりそうです。