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いいちこのコマーシャルソング

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ついこの間まで いいちこのテレビコマーシャルで流れていた、ビリーバンバンの<また君に恋してる>、このごろ聞かなくなりましたね。
こう話して、多くの人たちが きっと 「そう言えばそうだね」と答えてくれそうな気がします。
<また君に恋してる>という曲そのものも、もちろん大好きです。
でも、こんなやり取りが 見知らない人とも交わせることが、とてもうれしいのです。


毎年 若狭和田へ海水浴に行っていた頃、浜茶屋のスピーカーから 海風に強弱されながら砂浜を流れていた歌、倍賞千恵子の<下町の太陽>を、あのころの若者なら、たぶん誰もが知っていたでしょう。
ピンクレディの<UFO>を、好む好まざるにかかわらず、小さな子からお年寄りまで、知らない人はいませんでした。

そんな “みんなの歌”は、ウォークマンが世に出だしたころから、しだいにプライベートな曲に変わって行ったような気がします。
地下鉄で見かける青年の、装着しているかいないかわからないような イヤホーンから、かすかに漏れ聞こえる旋律、たぶん知らない曲だろうけれど、一緒に聞かせてほしいなぁ と思うことがあります。
間違いなく、聞かせてもらっても、チンプンカンプンでしょうけれど。


映画 『天国はまだ遠く』のエンディングに流れていた、熊木杏里さんの<~こと~>という曲、いいよね って言っても、「さぁどんな曲かなぁ」と返されそうです。
以前なら、映画音楽といえば、ほとんどの人が知っていてくれたのに。

でも、いいちこのテレビコマーシャルソングに使われてたあの曲なんだけどなって言ったら、あぁあの曲ねって答えてくれますよね。
ひと昔前の “みんなの歌”の役目をしているのは、いまはテレビコマーシャルソングなのかも知れません。


そんなことを あれこれ考えながら いま、眠れぬ夜長にシングルCDで ビリーバンバンの<また君に恋してる>を、くり返しくり返し 聞いています。


    若かっただけで 許された罪
    残った傷にも 陽が滲む
    幸せの意味に 戸惑うときも
    ふたりは気持ちを つないでた
    いつか雨に 失くした空も
    涙ふけば 虹も架かるよ
    また君に恋してる
    いままでよりも深く
    まだ君を好きになれる
    心から


きっとこの二人、高校時代から同棲してたんだね、ちょっと長過ぎた同棲で倦怠期に来てるんだね、でもまだ愛し合ってるんだ…
そんな余計なお世話な話にでも、きっと 「そうかもね」とか 「そんなことないよ」とか答えてくれそう。
それが、うれしいんです。