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コスト高

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ものづくり日本の最大の悩みは、コスト高ではないでしょうか。

ファッションの世界ですら、高いブランドものを敬遠する風潮です。
メイドインジャパンというブランドは、まずコストで ふるい落とされるケースが多いと聞きます。
日本のモノづくりの高い技術力が、メイドインジャパンというブランドを生みだしましたが、その技術力そのものも、近頃ではコモディティ化されて、安価な近隣外国製品でも 粗悪品とは言えなくなってきているからです。

いいものを安くつくる、言うは易く…です。


普通のサラリーマンが、家庭をもち 子どもを育て、人並みな生活レベルを保とうとすれば、乱暴に言って 月30万円は要るでしょう。
安定した大手企業のサラリーマンはいざ知らず、現実として月30万円を稼ぐのは、並大抵の努力ではありません。

ローンを組むにしても、ボーナス払い組込みローンは、確実なボーナス額が読めないのですから、危なくて組めないのが現状です。
とはいうものの、世間並みのつきあいをし、常識人として日本でまともに生活するには、ボーナスなしでも月30万円なければやっていけない国に、いまや日本という国は なってしまったのです。

そんな日本人で稼働している メイドインジャパンの工場では、製造コストに占める人件費の割合が、近隣他国に比べて格段に高くならざるを得ません。
コスト高を克服しようと努力する 日本企業の経営者も勤労者も共に、いまの日本は、きわめて悩ましい状態と言わざるを得ません。


一昨日放送された NHKスペシャル 「灼熱アジア第4回 日韓中 緑色戦争」を、見られた方は多いと思います。
この中で、中国の環境ビジネスに打って出た日本の中小企業、排水処理装置を売り込む大和化学工業が紹介されていました。
大和化学工業の土井社長は、自社の絶対的な技術力を確信しながらも、コスト高が大きな悩みです。
「低炭素・緑色成長」を国策に掲げて 官民一体で攻めまくる韓国企業に太刀打つには、決死のビジネスモデル大転換が必要でした。
それは、自前での生産をあきらめ、装置技術を中国企業に開示して生産を委託する、という選択でした。
自社技術の流出も、覚悟の上です。

土井社長の歯がゆさが、ひしひしと伝わってきます。
日本政府後押しの不甲斐なさ、無償で自社技術が奪われていく危うさ、日本でものが作れない悔しさ…
一にも二にも コストを下げるため、歯を食いしばらねばならない試練です。

土井社長の決断が 吉と出るが凶と出るか、その検証はまだまだ先のことになるでしょう。
でも 身近な地元中小企業の先例でも、中国での成功は容易なことではなさそうです。

中国市場を狙う場合だけではありません。
いま日本は、コスト高の悩みが、企業が生き延びていくうえでの、致命的な問題になってしまいました。