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火の鳥ニッポン

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かって東洋の魔女と呼ばれ、日本女子の粘り強さを世界に知らしめたバレーボールに、不死鳥の確かな予感が芽生えました。
女子バレー世界選手権、銅メダル。
ほんとうによく頑張りました。

ハイライトはブラジル戦第二セットでした。
第一セットを25対22で取り、世界ランク一位のブラジルを動揺させました。
そして、第二セット。
女子バレーは、ラリーが続くからシビレます。
ジュースに続くジュース、ついに35対33で ブラジルからこのセットをもぎ取ったのです。
結果的には フルセットで敗れたものの、この第二セットを取ったことは、日本チームにどれほど自信をつけたことか。


バレーボールは 背の高い選手が絶対に有利だ、9人制のバレーボールしか知らない私も、上背の差を嫌というほど味わいました。
真鍋新監督は、「日本は身長が低いから、世界の最先端をいかなければ勝てない」ことを百も承知です。
体格の劣勢は、頭脳と練習と気力でカバーするしかありません。

移動攻撃の名手だった大友選手が 一児の母の山本選手として復帰しましたが、彼女が 「選手全員がパソコンを持ち歩いているのにびっくりしました」とコメントしていたのが、印象的です。
データバレーが浸透したのです。
緻密なバレーは、スタッフを含めたチーム全体が一つにならなければ、達成できません。
極言すれば、ラッキーガールは歓迎だけれど スーパー選手は要らないのです。

ブロック、レシーブアンドパス、トスそしてアタック、これらの一連の動作で 上背で差がつくのは、ブロックとアタックです。
まず、不利なブロック対策。
人をマークして 最初からヤマを張って先に飛ぶコミットブロック一点張りから、トスを上げたのを見て反応して飛ぶリードブロックを、随所に取り入れていました。
スカッとしたブロックポイントはあげられなくても、ネット近くの強打を防ぐことができるのです。
「相手の高さには届かなくても、コートの真ん中だけには打たせたくなかった」と語っていた センター井上選手の言葉が、その効果を十分に証明しています。


次に、もうひとつ不利なアタック対策。
その最たるものが、バックアタックです。
速いバックアタックを使って、相手のブロックが揃う前に打つ。

もちろん、対策したブロックもアタックも、相手の攻撃の傾向や守備の弱点をつかむための 徹底したデータ分析が、その根底にあります。

アタッカーを経験された方なら合点していただけると思いますが、いいトスがあがれば、アタッカーはどれほど気持ちよく打てるか。
セッター竹下選手のトスは、絶品です。
芸術作品です。
いちど、竹下選手があげてくれたトスでアタックしてみたい、そんな夢想を抱きます。


この大会の個人表彰で、リベロの最優秀選手に アメリカのシコラ選手が選ばれましたが、私が選考委員なら 絶対に佐野選手を選びます。
佐野選手の成長には、目を見張ります。
男子バレー選手のアタックを、何度も何度も受けて練習したと聞きます。
あの小さい体で、2メートル近いアタッカーのスパイクを受ける姿を見ていると、身震いするくらい感動します。


日本のリベロとトッサーは、世界一です。
ロンドン五輪が楽しみです。
日本チームの愛称 “火の鳥ニッポン”、いいネーミングですね。