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最後の忠臣蔵

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朝日新聞に週に一度連載されている 「著者に会いたい」というコラムを、ぼくは愛読しています。
この前のコラムに載ったのは、杉田成道(しげみち)氏。
昭和18年生まれの、あの国民的テレビドラマ 「北の国から」の演出家です。

『願わくは、鳩のごとくに』を、さっそく買い求めて一気に読んでしまいました。
こんな愉快な本に、ひさびさに出会えました。
杉田氏の人間味が にじみ出ています。


ところで ぼくは、忠臣蔵という 日本を代表する史実ドラマを どうも好きになれません。
いかなる大義名分があろうとも、人を殺した人間を英雄視することに、どうしても納得いかないのです。

ところが、杉田氏が監督した 「最後の忠臣蔵」は、どうも ちょっと違うみたい。
と いうことで、期待半分 落胆覚悟で、映画 「最後の忠臣蔵」を見に行きました。


映画館のなかで しゃくりながら泣くもんだから、隣から家内が 肘でゴツンゴツンと突くんです。
ぼくなりに 言わしてもらうなら、この泣きは お涙ちょうだいから出たもんじゃあない。
清らかな泣き。

いままで 少々偏見的に好意を持てなかった俳優、役所広司に脱帽です。
さすがです。


忠臣蔵を こんなふうに情感で訴えられると、「忠」という字が輝いてみえます。
はからずも いいもんだなぁ、と。
ある意味、自由自由の現代社会より 封建時代のほうに生きがいを感じてしまいそうで、ちょっと怖いです。

ただし 大前提として、この人のためなら死んでも構わない くらいの徳が、トップにあっての話ですが。


杉田成道氏が監督した 「最後の忠臣蔵」、それも期待以上の感動作で、ことしを締めくくれたことに感謝です。