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失敗したもん勝ち

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NHK朝ドラには、今まで縁がありませんでした。
放映時間が、観れる環境になかったからです。
たぶん、これまでのほとんどの社会人は、ぼくと同じだったと思います。

でも、最近は、夜の再放送や週末のまとめ放送というサービスがあり、“その気”になれば欠かさず観ることができますね。
連続テレビ小説 「てっぱん」は、“その気”になって 欠かさず観ています。


愛媛県新居浜市で暮らしていたころ、社宅の向かいにお住まいの 井上さんご夫妻に とても親切にしていただきました。
知らない土地での親切は、どれほどありがたかったことか。
40年も むかしのことです。
ご主人は早くお亡くなりになりましたが、ぼくたちが京都に帰ってきてからも 奥様とは その後も親しくさせていただいています。
90歳を超えてられると思います。
さすがに お一人住まいは難しいと、ご決心されたのでしょう。
故郷でもある ご長男のおられる広島県三原市へ、昨年の暮れ 引っ越しされました。
「てっぱん」の尾道の家族の会話を耳にすると、井上さんご夫妻のことが こみあげるように思い出されます。

ぼくと同じような思いを、先日 新聞の投稿欄で目にしました。
50歳代の養護教諭をされている 広島県呉市にお住まいの女性の投書です。
ニュース以外ほとんどテレビを見ないご主人が、「てっぱん」にはまって 日に4回もご覧になっているんだそうです。
15年前に患った脳内出血の後遺症で失語症になり、1回では聞き取れないセリフがあるからなんです。
彼の “はまり”の大きな訳は、広島弁。
そして、親しみやすい大阪弁。

地元の彼がおっしゃるのだから 間違いなく、「てっぱん」の尾道家族の役者さんたちの広島弁は、感心するほどに うまい。
そして おばあちゃん、京都人のはずの富司純子の大阪弁も うまい。
ちなみに、京都弁と大阪弁は、微妙に違うんです。

方言というのは、どうしてこんなに暖かいんでしょう。
主人公あかり役・瀧本美織の、嫌みのない愛らしさと相まって、このドラマは 耳から入る優しさに満ちています。
あかりの性格、大阪弁で「いっちょかみ」、京都弁なら「かまい」が、いまぼくたちが いちばん必要としている優しさなのでしょう。

あかりが小夜子さん(川中美幸)から教わった言葉、『失敗したもん勝ち』には、このドラマの魅力が凝縮しています。

『失敗したもん勝ち』、いい言葉ですね。