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五三に繋げ 我ら今生く

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  六二三(ろくにいさん)、八六八九八一五(はちろくはちきゅうはちいちご)、
  五三(ごさん)に繋げ 我ら今生く
                      <岸和田市・西野防人さん 作>


これは、今年1月の第27回朝日歌壇賞に 選者の高野公彦氏が選んだ歌です。
この歌を、2月20日付けの朝日新聞 「声」で知りました。

尾道市の84歳になる岡野幸枝さんの その投稿文に、こうありました。

「数字だらけの歌がなぜ選ばれたのか、疑問が解けないまま、1月31日の天声人語でその意味が判り、ガムを噛むように この歌を復誦しました。…終戦65年を過ぎて、平和ボケが甚だしいからでしょう。特に冒頭の 『六二三』の意味が解らなかった自分を恥じます。今でも基地問題で戦後を引きずっている沖縄の人たちにとって重要な日を失念していたことを、申し訳ないとお詫びしたい。」


わたしが解説するのも気恥しい限りですが、六二三は沖縄戦終結の日、八六八九は広島と長崎に原爆が落とされた日、八一五は終戦の日、そして 五三は新憲法施行の日。

尖閣諸島や南千鳥四島の領土問題が、かまびすしく取り沙汰されています。
それに絡めて、憲法改正が急務だという意見を しばしば聞くようになりました。
今の憲法は、時代遅れだと。

今を生きる私たちは、よぉーく考えなければなりません。
その時々の状況に応じて変化すべきものと、どのような時代でも変わらないもの、いや 変えてはならないものとを、はき違える愚だけは、侵してはならない。

いま わたしたちがあるのは、六二三があり、八六八九があり、八一五があったからです。
そして、西野防人さんが歌われたように、もう二度と同じ過ちを犯してはならないと、五三に繋げたのです。


「五三に繋げ 我ら今生く」の深い深い意味を、決して失念してはならないのです。