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夜空の星

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11月4日午後11時15分、たぶん 雲ひとつない、夜空。
やや西に傾いた明るい上弦の月が、いまの夜空が雲ひとつないことを告げている。

頭上ま上より少し南に、ひときわ大きく ひときわ明るく光る黄色の星は、太陽系惑星の木星のはず。
いつもは 夜空を仰いでも、いまの時期、たぶんこの木星しか気づかない。
気づいても、どの位置にあるかなど、気にも留めない。
よくよく目を凝らさない限り、ほかの星ぼしは、天空の月の明かりと地上の街の明かりで 消されてしまっているだろう。

でも、今夜の夜空は違う。
その気になって夜空を仰ぐと、あっちにも あっちにも、星が輝いている。

北東の空にキリリと輝く明るい星、カペラ。
その少し南側が昴のはずだが、よくわからない。
そのあたりにあるオレンジ色にまたたく星、アルデバランの輝きばかりが目立つ。

北西の空低く、たぶんあれが織姫星だろう。
つられて、彦星を探す。
織姫星から少し離れた西南西の方角に か弱く光るのが、彦星に違いない。

北極星、北極星。
無意識に北極星を探している。
高い建物に北側を遮られて、北の空が見えない。
北極星をさがして、天神道まで来た。

見えた。
あれが、北極星。
なんでこんなにうれしいんだろう。
北極星が見えたぐらいで、なんでこんなにワクワクするんだろう。

長いあいだ空を見上げていたので、首が痛くなってきた。
木星は もう、かなり西に傾いていた。