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漏電ブレーカ

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電気は、目に見えないから厄介です。
ことに、漏電ブレーカが落ちるという問い合わせの電話は、メーカー泣かせです。

厨房用製麺機の場合、多くのお店で 使用条件が良いとは言いがたい環境に置かれています。
湯気もうもう、粉ふんぷん。

電気にとって、水気は天敵みたいなものです。

こんなことがありました。
CE型絶縁被覆付閉端接続子という、電線の端末同士を繋ぐ 擬宝珠形の圧着端子があります(下画像)。





モータの動力線端末部と導線を この圧着端子で繋いであったところへ、練り水のこぼれ水だろうと考えられるのですが、水が掛りました。
運悪く、この擬宝珠形圧着端子の開口部が上に向いていたため、圧着端子の懐に水が溜まりました。

これだけなら 漏電する可能性は少ないのですが、この開口部には粉が詰まっていました。
粉が保水剤になり、どろっとした粉が 導体のフレームに流れ出して、電線の裸部とフレームを短絡させてしまったのです。

この漏電原因をつきとめるまでに要した苦労を、ご想像ください。

テナントビルに入っているお店では、たいてい ビル備え付けの漏電ブレーカから製麺機の動力源を採っています。
だから、漏電ブレーカが落ちて 安全は保たれます。

ここで問題なのは、その漏電感知感度が、お店に設置されているような末端漏電ブレーカでは、極めて高いということです。

末端の漏電で 基幹のブレーカが落ちては、ビルに入っているほかのお店に迷惑がかかるだけでは済みません。
端末漏電ブレーカの感知感度を高くするのは、ビル管理上 当然のことなのです。
大きなテナントビルでは、電気が元から末端まで行くのに ブレーカは少なくとも三ヶ所はあり、それらの漏電感知感度は、

 基幹ブレーカ<支幹ブレーカ<末端ブレーカ

となっています。
系列ブレーカの層が大きいほど、末端ブレーカの漏電感知感度は、極めて高くなるのです。

漏電感知感度が極めて高いということは、ほんの僅かな漏電でも 感知されてしまうということです。
たとえば、濡れた手でスイッチに触れたり、濡れタオルを電気盤に垂れ掛けていたり…


こんなこともありました。
近くの電気屋さんに見てもらっても 漏電ブレーカが落ちる原因が判らないので出向してほしい とのことで、とり急ぎ駆け付けたところ、ちゃんと機械は稼働していました。
到着するまでの時間で 感部が乾いて、漏電が止まったらしいのです。

漏電する原因が存在したのは事実ですから、漏電感部を探り当てて 適切な処置をせねばならなかったのは確かです。
出向は無駄ではありませんでした。

それにしても、急に機械が使えなくなることは、お店の営業に大きな混乱を招きます。
さほど重大な漏電原因がない限り、応急的にでも なんとか機械を動かしたいところなのですが、漏電感知感度の極めて高いブレーカを介している以上、うまい手がありません。


こんなことで急場を凌いだことがあります。
ターミナルや接続部など、導線が裸になっていて漏電しそうな箇所を見つけてもらって、それらの箇所をヘアドライヤーで乾かしてもらいました。
すると、ブレーカが落ちずに機械を作動できたのです。


いずれにしても、水気が免れない環境であれば なおさら、水気を保持して 漏電の原因を作りやすい粉が溜まらないよう、毎日のこまめな掃除が大切です。

そうじは、おのずと機械の点検につながります。
掃除も大切な仕事の一部と考えて、安全に製麺機械とおつきあいください。