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みすゞ と みつを

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『「詩人の魂」~金子みすゞと相田みつをの世界』 という小冊子が、相田みつを美術館から刊行されています。
この小冊子を 先日、石川県小松市の <ゆのくにの森>に常設展示してある 「相田みつを展」で見つけました。
二人の詩人の真髄を凝縮した、コラボレーション冊子です。


わたしは かねがね、‘金子みすゞ’ と ‘相田みつを’を敬愛してまいりました。
そして、二人の詩人の作品を自分流につたなく編集して、ひそかに楽しんでいました。
でも、この小冊子には とうてい敵いません。

この冊子の中で 児童文学者の矢崎節夫氏は、つぎのように 二人の詩人を的確に紹介しています。

 金子みすゞさんは、大切なことを、美しく、なつかしい映画の一シーンを見るように、うたってくれた人です。
 相田みつをさんは、その映画のフィルムをすぱっと切り取って、みごとな一枚の写真にして、うたってくれた人です。

この紹介の的確さを、次の二つの詩で 証明しましょう。

 「達磨おくり」(みすゞ)
   白勝った、
   白勝った。
   揃って手をあげ
   「ばんざあい。」
   赤組の方見て
   「ばんざあい。」
   だまってる
   赤組よ、
   秋のお昼の
   日の光、
   土によごれて、ころがって、
   赤いだるま照られてる。
   も一つと
   先生が云うので
   「ばんざあい。」
   すこし小声になりました。

 「まける人の」(みつを)
   まける人の
   おかげで
   勝てるんだよ
   なあ

赤組を想って、三回目の 「ばんざあい。」は、すこし小声になりました。
まける人の おかげで 勝てるんだよ なあ。

みすゞは そっと、みつをは ずばっと、いっています。
勝った時 負けた人のことを想える人でありたい、倖せな時 つらい思いをしている人のことを 深く想える人でありたい、と。


この小冊子を、これからもずうっと 大切にしていきます。