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太陽光発電の素朴な疑問

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太陽光発電設備の工事が完了しました。
あとは、関電が管理する柱上低圧変圧器への繋ぎこみを待つばかりです。

当社の場合、関電からの受電配線は高圧電線(6600V)からの引き込み線のみですから、おそらく低圧(100V,200V)用の送電線配線が必要になるのでしょう。
もちろん工事費は有料です。


素朴な疑問が浮かびました。
関電の管理する配電線は ‘送電’が目的の配線だろうから、受電専用の配電線があるわけではない。
ならば 当社で太陽光発電した電気は、どのようにして関電の 「どこか大きな施設」へ送られるのだろうか。

社長が調べてくれたのですが、当社で太陽光発電した電気は 「どこかの大きな施設」などへは送られません。
現状の電力配電システムでは、どんなに当社の太陽光発電が頑張って たくさんの電気を発電したとしても、当社の近辺の電力需要者にしか送電できないのです。

つまり、こういうことです。
水の流れが高いところから低いところへしか流れないように、電気も電位の高いところから低いところへしか送れません。
だから、送電を目的に配線された電線を通して 電気を逆に流すためには、送電されてくる電気の電位(電圧)より 送る側の電位を高くしなければなりません。
たとえば100V送電線で電気を売電するために、当社内に設備された 「パワーコンディショナー」で 発電した電気の電圧を107Vに調整しているのです。
100V仕様の電気製品は、110Vくらいまでなら 支障なく使用できるように設計されていますから、107Vなら問題なし ということなのでしょう。
しかし、これくらいの電位差で送れる範囲は限られています。
送電先は、当社と繋いだ関電の柱上変圧器から配電されている電力需要者に限られるのです。

もしこのエリアの電力需要者が どんどん売電用太陽光発電設備を導入していったなら、当然このエリアの電圧は107Vに近づくことになり、ついには “電圧上昇抑制機能が働きました”というアラームが鳴って、当社の買電はストップしてしまいます。

わたしの素朴な疑問は、太陽光発電を促進する上で やはりこのような障碍を孕んでいたのです。
社内に大容量蓄電池を設置するとか 電気自動車への充電とか、対応策はいろいろ提案されていますが、みな小手先の対処です。
送配電システムの根幹を変革しない限り、自然エネルギー発電の促進を阻害する このような障碍は解決しないでしょう。


独りよがりの気負いが 少々削がれた感が否めませんが、一部の大企業が営利目的で実施しているメガソーラー発電とは違い、狭くてもその地域の まさかの時の電力需要のわずかでも賄える助けになれるのだと考えれば、今回の設備導入の名分がたつというものです。

自然エネルギーで、そして地域地域で、わたしたちの必要最小限の電力が賄える日が、一日も早く来ればいいですね。