恐い!このたびの参院選 |
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けさの新聞で、東京電力福島第一原発の元所長、吉田昌郎(まさお)さんが亡くなられたことを知った。 想像でものをいうのだが、立派な方だったに違いない。
吉田さんは過去に、大津波の試算結果を知りながら、その対策をとらなかった、との批判もあるようだが、それを言うなら、もっともっと責められるべき人間が、政界にも電気業界にも、掃いて捨てるほどいる。
吉田さんの人柄は、震災当時から彼のそばにいて
極限状態の作業に従事した
東電の男性社員の言葉ひとつで、偲ぶことができる。 「あの極限の緊張のなかで、いつも指示は的確でした。現場を知り尽くし、どのような緊迫状態の時も
気丈に立ち振舞う。あの人だから、団結できたのです。」
菅元首相でなくても、もっと、事故のこと、原発のこと、いろんな話が聞きたかった。 心より、お悔み申し上げます。
翻って
いまを見るに、電力各社は、原発の再稼働を急ぐ。 理由は、もっぱら経営問題、つまり、金、カネ、金、だ。
不良部品が見つかって、そのリコールを
大損を覚悟で実施する民間企業。 それは、信用を重んじ 企業倫理に立脚して会社経営する企業の、当然の義務であろう。 福島第一原発という
途方もない不良品をだしておいて、その手立てもつかない状態で 経営が成り立ちませんので
という理由で、原発再稼働を申請する東電トップの気が知れない。
このたびの参院選挙は、いろんな理由で
恐い選挙だ。 憲法や原発よりも、景気回復、つまりカネ。 それも、年金のような
ちょっと遠そうなカネではなく、いまのカネ。 目先のカネに目がくらんで、衆参のネジレがなくなったなら・・・ 考えるだけで、ぞっとする。
わたしの知る‘良き頃の’自民党は、党内二大政党制だったように思う。 いわゆる‘タカ派’と‘ハト派’が
うまくバランスをとっていて、ときの政府が大きく偏った政策に向かおうとすれば、党内反対派がそれを牽制して、日本はなんとか
まっとうな国であり続けられた。
いまの自民党には、自浄作用が効かない。 そんな党に、この国を任せていいのだろうか。 そんな党しか、託せるに値する政党がないのが、恐ろしい。
投票率がいくら低くても、国政選挙は成立する。 投票しない選挙民は、その大半がときの政府に対する不満足票であっても、選挙に関してはネグられる。 つまり、選挙は、投票した者の多数決で決まる。 そして、選挙に当選した候補者は、「日本国民の総意」に基づいて「選ばれた人」となる。
たいていの選挙人は、立候補者を、かりそめにも吉田昌郎さんほどにも知らない。 その立候補者を推す政党の言っていることも、ノラリクラリとつかみどころがない。 選挙人は、いったい何を基準に、一票を投ずればいいのか。
選挙とは、よくよく考えれば、恐いもの。 投票の基準を絞り込んで、馬に賭けるに似た思いで、なけなしの一票を投じなければならない。
とにもかくにも、棄権だけは避けねばならない。
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