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『半沢直樹』がおもしろい

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テレビドラマ『半沢直樹』が、好調です。
第三話での<裁量臨店(さいりょうりんてん)>場面の終盤では、思わず拍手してしまいました。
フィクションもので 拍手を送ったのは、嵐寛寿郎の『鞍馬天狗』以来・・・かな?


あんたらは、晴れた日に傘を貸し、雨の日にその傘を取りあげるんやないか。
これは、東田が半沢に投げた捨て台詞でしたが、銀行の本質が金貸し業である限り、これは当然と言えば当然の行為なのでしょう。
しかし 銀行と言えども、それを動かしているのは、人間です。

5億円の銀行融資を横領した西大阪スチール社長、東田の行方を知っている小村建設元会長、小村が、今わの際に半沢に宛てた手紙には、こう書かれていました。
小村がもう会えないと思っていた娘と孫を 病院に呼んでくれた半沢への、小村流の感謝の手紙です。

   これは金で買えないものを
   融資してもらった礼や。
   半沢はん、あんたはバカで
   一流のバンカーやった。
   (二枚目の便箋には、東田の隠れ場所が記されていた)

どんな仕事でも、人と人の繋がりが、なによりも大切や。
半沢が、首吊り自殺した町工場おやじの父親から、しょっちゅう聞かされていた言葉です。
清濁併せ飲むバンカー 半沢直樹も、最後の最後には この父親の口癖が思い浮かんでくるのでしょう。

日本資本主義の父と言われた渋沢栄一の孫である、元日本銀行総裁の渋沢敬三は、こう言っています。

 <銀行屋というものは、小学校の先生みたいなものです。(融資先が)いい仕事をしてだんだん成長した姿をみて、うれしく思うのが、本当の銀行屋だと思いますね。えらくなるのは生徒です。先生じゃない>

町工場おやじのわたしには、東田の捨て台詞の心情も理解できるし、半沢が折に触れ覗かせる 渋沢敬三の‘銀行屋’の温もりも知っています。


たいがいのサラリーマンなら、一度は半沢のように「言えるものなら言ってみたい」と思っていることでしょう。
「倍返しじゃ!」と。
社会人なら ほとんどみな、半沢直樹に声援を送りたいはずです。
言えるものなら言ってみたいことを、自分に代わって言ってくれているのですから・・・
フィクションの世界だから、それが許されるのです。

『半沢直樹』の魅力は、ここにあるのでしょう。
これからの展開が 楽しみ、半沢よ、負けるなヨ。