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Woman,そして、恐竜せんせい

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台風18号は、気違いのような雨を残して、去って行きました。
びっくりしました。
京都に住んでいると、天災ボケになるくらい、自然の脅威から免れています。
ありがたいことですが、だから余計に、このたびの豪雨にはビビりました。
あらためて、自然に対峙する人間の弱さを、実感しました。

ところで、9月という月は、なにか寂しい気持ちになる時期ですね。
台風一過、すがすがしさの片一方で、あの憎たらしいほど暑かった夏を惜しむ、矛盾した惜別感。

わたしにとっては、もう一つの惜別があります。
9月で終わるテレビドラマ。

Womanも、名もなき毒も、SUMMER NUDEも…
そして、半沢直樹は次回で、あまちゃんは今月いっぱいで、おしまい。

ゆうべ、眠れぬまま長読みの文庫本にも疲れて、天井からの吊り下げ灯を消すべく、下げ振りスイッチを引っ張ろうとして、Womanの名場面を思い起こしました。
下げ振りスイッチを、寝たままでも引っ張れるように、もっと下まで継ぎ足してやろう、そう思ったことからの連想です。

信(小栗旬)が、自分を捨てた母親に会いに、山に囲まれた小さな村を尋ねる場面。
母親の住む文化住宅の一室を 窓から覗き見ると、雑然とした留守部屋の片隅に、空缶に挿された切り花が見えます。
天井吊り下げ灯の下げ振りスイッチに、くたびれたオレンジ色のマフラーが継ぎ足してあります。

母親に会わずに帰りかけた信が、バスストップ前の荒物屋で、思い直して 小さな花瓶を買い求めます。
その花瓶の傍らの陳列棚に、オレンジ色のマフラーが…

親と子は、幸不幸の程度差はあっても、どの親と子も、それほど濃い思い出を数多く共有してはいないのではないでしょうか。
でも 子は、数少ない親にまつわる思い出で、その思い出だけで、誰とよりも強く、親と繋がっている。

オレンジ色のマフラーを荒物屋で目にした信は、幼い自分に手編みのオレンジ色のマフラーをプレゼントしてくれた母親を思い出します。
数少ない、母親から感じた愛の証しです。
そのオレンジ色のマフラーを、母親は今でも自分のすぐ傍に置いてくれている…
信は、そのオレンジ色のマフラーを、ささやかな願いとして 母親からもらって帰ります。
そのオレンジ色のマフラーが、悲しい事件の発端になるとは…

テレビドラマをみて おいおい泣くわたしを、家内はもう 慣れっこになったようです。
あきれて、なにもコメントしなくなりました。

泣く心配のない、でも絶対見逃したくないのが、あまちゃんです。
あまちゃんの話をしだしたら、このブログがパンクしそうです。
東日本大震災の被災者への、いちばんの応援歌ですね。
被災者へだけでなく、なにかして差し上げたいと思いつつ悩む日本人みんなの、この上ない代弁者です。

NHK朝ドラは、たぶん むかしは、どのサラリーマンも、縁が薄かったのではないでしょうか。
時間的に朝ドラを見ている余裕はなかったはずです。
それに、今のように性能のよい録画装置もなかったし…

ゲゲゲの女房からかな?、朝ドラを見だしたのは。
おひさまは、欠かさず 見ました。
あの三人娘も、それぞれ みんないい役者さんです。
井上真央も、満島ひかりも、マイコも…

Womanの満島ひかりは、ベテランの田中裕子や小林薫に負けてませんでした。
いや、彼らベテランに彼女の良さを 存分に引き出してもらっていたのだと思います。

先日、NHK福井開局80周年記念ドラマ 『恐竜せんせい』(BSプレミアム)で、久々にマイコをみました。
恐竜せんせいを、いい塩梅に演じていました。
井上真央にも満島ひかりにもない、ホンワカとした美しさを持った女優さんですね。

この 『恐竜せんせい』、実は放映の直前に 勝山を訪ねていて、恐竜博物館にも入っていたので 余計そう思うのかもしれませんが、ほのぼのとした いいドラマでした。
「きっと、見つかる。ほんとうの宝物。」が見つかったような気分になりました。

勝山は、かっての賑わいを失っています。
それを、恐竜が救っているのかもしれません。

銅鐸とか埴輪とか、そのへんの時代も 好奇に満ちていますが、恐竜は人間臭さがまったくない、それでいて この同じ地球に生きた生物として、ロマンにあふれています。
いい年したおっさんも 真剣なまなざしで恐竜博物館を歩き回る訳が、わたしには理解できます。

いまの日本、あまりにも東京にすべてが集中しすぎています。
あまちゃんの 「地元に帰ろう」もそうですが、3.11を契機に、東京以外の日本の良さを見直し、東京以外の日本が元気にならないと…

太古の日本にもいた恐竜は、勝山へ大きな大きなプレゼントを送ってくれているように感じます。
恐竜せんせいを見て、勝山という地がいっぱい好きになりました。
勝山が、恐竜の助けを借りて、もっともっと元気になってほしい、そう願います。