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冬来たりなば

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ぶーめらん通りを歩いています。
ここは、近江八幡市。
一年に一度 この時期に、ぶーめらん通りを八幡山に向かい、1時間ほどして ブーメランのように戻ってきます。
桜宮町にある歯医者さんを訪ねるのです。

京都にも もちろん、腕のいい歯医者さんはたくさんあるのでしょうが、歯医者遍歴の末 20年前にたどり着いたのが、ここの歯医者さんでした。
歯だけを診るのでなく、歯も体の一部分 という姿勢で、歯の不都合の原因を 体全体から診る、そういう歯医者さんに やっと巡り会えたのでした。

たねや本店の向かいにある「ひさご寿し」の植え込みの (たぶん)万両の赤い実が、この時期きまって鈴なりに実っています。
木枯らしが、京都市内より逞しい。
でも気温は、こちらの方が暖かいのかな。
民家の生け垣の トウネズミモチの実に薄日があたって晴れがましいのに、雀たちが群がって 競うように実を啄んでいます。

毎年のことなのですが、ぶーめらん通りを行き帰りの途上 きまって思い浮かぶ、言い古された詩の一節があります。
   冬来たりなば 春遠からじ (If winter comes, can spring be far behind?)
そして、まわりに人がいないのを確かめて、この一節を かなり大きな声で口ずさみます。
すると、なにかあったかーいものが、体に満ちてくる気がするのです。

   冬来たりなば 春遠からじ