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それでも バイクは やめられない

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俳優の萩原流行さんが、バイク事故でなくなった。
車種は、900ccクラスのハーレーダビッドソン。

4月22日夕6時過ぎ、東京高円寺付近の青梅街道で転倒、後続車に轢かれたらしい。
午前中 晴れマークのこの日、この付近、事故当時、夕立があった という。

片側3車線の直線道路で、萩原さんは中央車線を走っていた。
一番左側の車線を進行していた高井戸署の護送車が、駐車車両を避けようと中央に車線変更した後、中央車線後方を走っていた萩原さんのオートバイが何らかの原因で転倒して護送車に接触?
萩原さんが護送車を避けようとして転倒したのかどうかは、不明。
護送車を運転していた警部補は 「車線変更後 ドンと何かが転倒するような音が聞こえた、バイクに当たった感覚はなかった」と話しているらしい。

右車線の2台後方を走っていたドライバーの男性は、萩原さんのバイクが、前方の走行車両を右側から追い抜こうとした際に 「バイクがフラフラとふらついた」と証言。
次の瞬間、萩原さんはバイクから転がるように落ちた、という。

他人ごととは思えない。
ついこの前、わたしも転倒事故を起こしている。


事故は、起こるべくして起こる。
萩原さんの場合、起こるべき条件が重なった。

急に降りだした雨、急ハンドルの単車がスリップを起こしやすい条件だ。
後方確認を怠った車線変更、こっちの場合も相手の場合も。
たしかにドアミラーは 真横が死角になりやすく、四輪車はフェンダーミラーを義務付けるべきだと、わたしは思っている。
80キロを越えるスピード、萩原さんがそんなスピードを出していたかどうかは 別にして。
抗うつ薬の服用、うつ病に悩まされた経験のある萩原さんが、最近服用していたかどうかは もちろん判らない。
ただ、1ヶ月以内に抗うつ薬を摂取していた場合、自動車事故の危険性が70%増加する、という報告もある。

わたしの転倒事故は、だいぶ趣きが違う。
バイク歴1年と3ヶ月のシンマイで、250cc中型車種の、いたって怖がりな性格。
信号手前で右折車線へ慎重にトロトロと寄ったその前を、走行車線を走っていた4トントラックがUターンすべく 急に目の前を横切って、ドスーン。
日頃の太極拳研鑚の成果かどうかは知らないが、とっさにバイクから飛びのいて、バイクのみトラックの車輪の下敷きに・・・

最初、わたしにも いくばくかの落ち度があるものとして現場検証していた警察も、すぐ後ろから付いて走ってくれていた家内の運転するポロのドライビングレコーダーを見て、まぁよく加害者側と話し合ってください、と。
その相手側は ぜんぜんコワくない良心的な運転手で、100%自分の非を認めて示談となり、一件落着となった。

どう考えても、起こるべくして起こった事故原因が わたしの側にもあるとは、いまもって思えない。
ただ、担当した警察署の交通事故捜査係の上司が、事故った直後 興奮して頭にきているわたしの状態をみて、自分の親父さんをたしなめるように諭してくれた言葉が、忘れがたい。
交通事故は、自分がどんなに注意していても起きるんだということを知って、これからもバイクを楽しんでください、と。

萩原流行さんの事故のように、バイクの運転は死亡事故と隣り合わせ、ということ。
これを、身をもって経験した。
実際に転んでしまっているのだが、転ばぬ先の何たらで、貴重な体験であった。


この事故でバイクはもうやめるだろう との周囲の思惑とは逆に、ますますバイクがおもしろくなってきた。
五感を総動員して 薫風を走り抜ける快感、この快感は、快適この上ない四輪車のなかでは、決して味わえない。
身の程をわきまえつつ、これからも体力の続く限り、バイクに跨ってゆこうと思う。