YAMADA IRONWORK'S 本文へジャンプ
テレビドラマ 再び。

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翼をください、という曲。
この歌に励まされ 立ち直るきっかけをもらった人は、たくさんおられるでしょう。
わたしも、その一人です。

いま、TBS系で放映されているテレビドラマ 『表参道高校合唱部』をみて、あのときの感動がよみがえりました。
これがテレビ連続ドラマ初主演作となる 芳根京子の表情が、とても ういういしい。
合唱や高校や青春といった ずっと遠くに追いやられた記憶が、表参道高校合唱部が歌う ‘翼をください’を耳にして、ついこのあいだのように思えたのです。

いい年こいて 青春ドラマに首っ丈、というのも、少々テレますが、このドラマはいい。
第3話では、岡本真夜のTOMORROWも聞けそうです。
これからの展開が楽しみです。

ところで、前クールでハマったドラマは、『天皇の料理番』でした。
宮内省大膳職司厨長(料理長)を務めた秋山徳蔵の、青年期から主厨長になるまでを描いたドラマ。

杉森久英(ひさひ)著の伝記小説 『天皇の料理番』は、今回を含めて過去3回 テレビドラマ化されたらしい。
でも、堺正章の秋山徳蔵も、高嶋政伸の秋山徳蔵も、記憶にありません。
原作も薄れました。
わたしのなかの秋山徳蔵は、佐藤健(たける)の 「はイーぃ」だけ。

佐藤健という俳優、いい役者さんですね。
見ていて、しんどくない。
あれだけの包丁さばきは、並大抵の練習でこなせる演技とは思えません。
フランス語も 相当勉強したのでしょう。
決して 「うまい」俳優ではないけれど、自然体で役になりきれているのだから、名優に違いない。

俊子役の黒木華(はる)、これがまたいい。
いまどき あんな女房はいないでしょうが、自分のことは二の次で 人のことに一生懸命に尽くす女性を、黒木華の存在自体で醸し出している。
まさに役者さんです。
わたしも、俊子の鈴が欲しいです。

このドラマがピリッとしているのは、徳蔵の師匠・宇佐美さん役の小林薫のオーラでしょう。
徳蔵に 「料理は真心」と教える宇佐美さん。
ほんまもんの料理職人というものが どんなものか、小林薫の宇佐美さんをみれば、判る気がします。

最終回、時代は戦後。
敗戦し、GHQの統治下におかれた日本。
ある日、GHQとその家族の集まりの場で料理を振る舞っていた徳蔵は、天皇を侮辱され、感情を押し殺すのに必死だった。
池に突き落とされた徳蔵の 堪忍袋の緒を締めてくれたのは、亡き妻・俊子の形見の鈴でした。

池の中で 鴨の真似して不穏な空気をはぐらかす徳蔵たちをみて、園遊会の助っ人に来ていた宇佐美さんが語る言葉が、忘れられません。
GHQの偉いさんに問われて語る、宇佐美さんの言葉を紹介して、テレビドラマ大好き人間の 本文の締めくくりとします。


  なんでもするんですね、あなたたち日本人は。
  そうかも知れません、いい意味でも 悪い意味でも。
  あなたもそうですか。
  私にとって、陛下は、味噌です。
  たいへん不敬かつ曖昧な表現かと思いますが、私は無学な料理人です。
  お許しください。
  生まれたときから そこにあり、馴染んできたものですから、味噌を親しみ 慕うことは、当たり前です。
  その意味を問うたことさえ、ありません。
  しかし むしろ、ある日 突然、味噌を今後一切 食べるなと言われたら、私はとてつもない悲しさを感じると
  思います。
  そして、あちこちで暴動が起き、私も、それに加わると思います。
  陛下の存在を否定すれば、それと同じようなことが起き、統治をむずかしくするだけではないでしょうか。
  Your opinion is noted. (ご意見、参考にします。)