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ツバキ文具店

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手書きの文字は、書いた人の人となりを表す、と言いますね。
まさに、「書は人なり」です。

最近は、手書きの文字に触れる機会が少なくなりました。
少しさみしい気がします。

手書き文字には、書き手の息遣いやその人のセンスが表れます。
自分の名前が手書きで書かれた手紙を受け取ったとき、その文字を見ただけで、あっ、まるまるくんからだ、と。


毎週金曜日の よる10時から放映された、8夜連続NHKドラマ 『ツバキ文具店』。
小川糸原作の 同名単行本を、映像化したものです。
6月2日で、最終回となりました。

手紙を書くことを生業(なりわい)とする、若い女性のみずみずしい成長の物語、鎌倉が舞台です。

代筆屋という職業、手紙一つひとつに一所懸命に向き合う主人公・鳩子を、多部未華子が演じていました。
見えないものや忘れていた大切な記憶を、ゆっくりと過ぎゆく時に乗せて、呼び覚ましてくれる。
紡ぐ記憶に こころが揺れ動く鳩子を、じつにしっとりと表現していました。
多部未華子、いい役者さんになりましたね。

映像に追いついたり 抜かれたりしながら、単行本 『ツバキ文具店』を読んでいました。
そのあいだに わたしの文箱には、エルバン社のインクが 3色も増えました。
ビルマの琥珀、忘れな草ブルー、それに 灰色の雲。

だれにあてて出す というアテはないのですが、『ツバキ文具店』を観ていて、読んでいて、大切な人に手紙を書きたくなったのです。
相手によって、色を変えてみたかった。

格好から入るのが性癖で、このつぎ丸善へ行ったら、ガラスペンを買ってみようかな などと考えています。
さすがに シーリングスタンプには、手を出さないと思いますが・・・


達筆でなくてもいい、短くて、軽やかで、相手の心に自分の思いが素直に届くような手紙、そう、鳩子がガラスペンでセピア色のインクに込めて代筆した 「さくら様」に始まり 「早々」で終わる あの手紙のように、わたしも だれか大切な人に手紙を書けたら どんなに素晴らしいだろう、と。

『ツバキ文具店』を観終わった、読み終わった、いまの心境です。