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安倍政権の大きなあやまち

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12月17日(日)夜放映の、NHK総合テレビ 「脱炭素革命の衝撃」を、ご覧になった方が多かったと思います。
ことに、なんらかの形で脱炭素産業に携わって来られた方には、大きな衝撃だったのではないでしょうか。
洋上風力発電の技術者・戸田建設の佐藤郁さんの悔し涙が、ひしひしと伝わってきます。
「もはや日本はグリーンテクノロジー革命の先頭にはいません。」
先月ドイツ・ボンで開かれた国際会議COP23で、日本に向けられた批判です。
環境対策を 脱炭素産業をリードしてきたのは、“世界のエコ文明を築いていくリーダー”だったのは、日本ではなかったのか、と。

第二次安倍内閣発足からのこの5年間、確かに見かけの景気は良くなりました。
しかし、2020年以降の日本は となると、不安を抱かざるを得ません。
百年の計を以って、まつりごとを行っている とは、到底思えない。

国のまつりごとの重要課題は、外交と安全保障であることに間違いはないでしょう。
それと同じくらい、いや それ以上に重要なのは、食糧問題とエネルギー政策です。

食糧問題は課題が多様で、地道な努力の積み重ねが必要でしょう。
しかし エネルギー政策は、ときの政権の決断ひとつで、思い切った方向に転換できるのです。
その絶好のチャンスが、福島第一原発事故だったのです。
原発はクリーンエネルギーだとの見せかけで、この5年間、エネルギー革命の大切な助走を逃してしまいました。

経済格差を縮める努力をする、もりかけ問題はしっかり糺す、北朝鮮の核から日本を守る、憲法改正はじっくり議論を積み重ねる・・・これらは、ときの政府がやる当たり前なことです。
これらに まつりごとが忙殺されて、肝心な政策の議論が抜け落ちたのが、この5年間でした。
その肝心な政策のひとつが、エネルギー問題だったのです。

畏友・松並壯氏が、ことあるごとに主張していた 『化石燃料からの脱却』は、地球温暖化防止の意識だけでは なかなか進まなかったでしょうが、パリ協定以後 世界のマネーが脱炭素企業へ流れ出して、一挙に加速しだしました。
これには、松並君も驚いていることでしょう。
なにごとも “ご利益”なしには進まない、ということなのでしょうか。

わたしも 微力ながら、『小水力発電』に興味を持ち、親友・木下哲夫氏と勉強してきました。
そこでぶち当たったのは、水利権の問題、送電(売電)の問題でした。
いづれも、国の積極的な姿勢がなければ、何ひとつ解決できません。
正しい長期的判断のできる政治家のリーダーシップのもとならば、いっそのこと、日本全体の送電事業を国有化した方が良いのではないか、そんなことまで考えざるを得ませんでした。

ビジネスと一体となった脱炭素のウネリは、もう誰にも止められません。
エネルギー問題に関する限り、安全保障同盟国のアメリカに、パリ協定から脱退したトランプに、脱炭素のウネリに眼を背けて同調することが愚の骨頂であることは、明らかです。

安倍政権の大きなあやまちは、ここにあります。
長期的判断に基づく正しい政治力が働かない限り、エネルギー問題は前に進めないのです。
日本には 生き残れるだけの高い技術力がある、無いのは 勇気だと・・・