柚子の香り |
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むかし一番の仲良しだった友から、小包が届いた。
開けると、部屋中にプーンといい香りが漂った。
柚子の香りだ。
添えられたハガキに、こう書いてあった。
「むかし一緒に遊んだ畑に残っていた柚子の木になった実です。
ジャムやピールに・・・面倒なら柚子湯にでも どうぞ!」
旧友・松村昌彦氏とは、小学校中学校の9年間 いつも一緒に遊んでいた。
彼の家が学校に近かったせいもあって、下校して毎日のように彼の家に直行。
お兄さんが多勢おられたからだろう、彼の家には 鉄腕アトムやダルマくんのマンガ本が いっぱいあった。
暗くなるころまで マンガを読んだり、道を隔てた向かいの畑でチャンバラごっこしたりして 過ごした。
そうか、この柚子は あの畑に立っていた木になったんだ。
家内が柚子ジャムを作ってくれた。
焼いた食パンの上にのせて頬張ると、甘さの中に 柚子の酸っぱさが効いて、同時に鼻を柚子の香りがくすぐる。
美味である。
柚子はちみつ、柚子入り千枚漬け、柚子シロップ、白菜の柚子漬け・・・
まだまだ柚子の実は、いっぱいある。
柚子風呂なんて、もったいない。
ひとつひとつ サランラップに包んで、冷凍することにした。
柚子の香りに包まれて、遠いとおいむかしの記憶が蘇っては消えた。
ありがとう、マッつん!
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