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デイゴ と ねむの木

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10月7日から、新工場への移転を始める。
10月末ごろから、現工場の解体が始はじまるだろう。

以前、古いおうちの解体現場を 通りがかりに眺めたことがある。
大きな松の樹が倒されようとしているところだった。
ブルドーザーに牽かれて、松の樹はギューッと悲鳴をあげていた。
あれだけはイヤだと思った。

当社の敷地にある ささやかなグリーンベルトにも、30種以上の樹木が植わっている。
実のなる木を、できれば明るい花が咲く木を、選んで植えた。
どの木にも、それぞれのおもいでがある。

前の工場から現在地に移転するとき、あまり未練を見せなかった母が、この樹だけは残してと、移植したアラカシ。
もう老木となったそのアラカシは、前の前の工場(兼居宅)から前の工場に移植したものだった。

暑い夏の盛りに二度も小さな白い花をパラパラ散らし、冬の凍てつくころ つやつやの黄金色を 枝いっぱいに実らせるキンカン。
義母も一緒に車で遠出した折、どこかの道の駅で義母が買ってくれた苗木を、この工場が建った頃に地植えしたものだ。

花梨、ムクゲ、さるすべり、牡丹、キブネギク、はなかいどう、大山蓮華、グミ、さつき、沈丁花・・・・・・
5年前に植えた萩と芙蓉が、もう背丈以上に大きく育った。

樹木には命がある。
小さな木にも、大きな木にも。

梅、ザクロ、ぽぽー、フェイジョアは、植木屋さんがどこかのおうちの庭木にと、もって行ってくれた。
プチリンゴは、鉢に植え直して 手元に残そうと思う。

デイゴとねむの木は、ひときわ大きく育った。
通りがかりのたくさんの人々にも、その花のめでたさを愛でてもらった。
彼らに、夏の暑い日差しをつかのま避ける木陰を、提供もした。

デイゴとねむの木、その雄姿を画像でとどめておきたい。





10月下旬から、この工場にブルドーザーが入ることになる。
9月中に、デイゴもねむの木も ほかの樹木も、幹の根元から切ってくれるよう、出入りの植木屋さんに依頼した。

ブルドーザーになぎ倒される前に、出入りの植木屋さんの手で処分したい。
わたしのささやかな、わがままである。