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町工場

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辞書で引くと、町工場とは 町なかにある小さな工場、とあります。
わたしの頭にある町工場は、ちょっと違います。
わたしの頭にある町工場は、工場とそこのおやじさんの居宅が引っ付いています。
だから 町工場は、結果として 町なかにあるのです。

小さいころから、職場と居宅が引っ付いているのが あたりまえ、として過ごしてきました。
御池通りの工場に移るまでに 当社工場は3回移転しましたが、いづれも町なかでした。
そして、いづれも職場と居宅が引っ付いていました。

このブログのVol.281 「職場と住居」で、河井寛次郎記念館に寄せて 職場と住居に対するわたしの思いを、記しました。
そこでも述べたことですが、40歳代半ばのころ 尊敬する得意先社長から 「職場と居宅は離さなあかんで」と言われました。
「あんたはええやろが、奥さんや家族が辛い思いをするさかいなぁ」と。

あれから30年、ようやく居宅は職場から離れました。
同時に、わたしの 「町工場おやじ」という名称も、意味をなさなくなりました。

わたしの頭にある町工場は、もう一つのイメージがあります。
地域とつながっている工場。

工場の周りは居住区でしたから、周りのおうちには生活があります。
生活には、ちょっと直したいものが出てきます。
鍋の取っ手がとれた、電熱器のスイッチが入らない、ブックスタンドの溶接部がはずれた、などなど。
町なかに工場があると、こういうときに便利です。

当工場には、ときどきこういう修理が舞い込みます。
よほどの繁忙でない限り、こういう修理には快く対応してきました。
もちろん無料です。
ちゃんと直った品物を手に うれしそうな笑顔がかえって来ると、ほんとうにいい気持ちになりました。

このブログ 「町工場おやじの持論・自説」も、始めて12年になります。
工場が住宅地域から工場区域に移転する この機に、わたしの頭にある 「町工場」がなくなる この機に、いったん店じまいをしようと思います。
落ち着きましたら また、違った形で 言いたい放題をご披露できるかも知れません。

長い間 お付き合いいただき、ほんとうに ありがとうございました。