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日本は社会主義国である

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いまの政治家を眺めると、お見事に 二世、三世である。
彼らは 票田を親から譲り受けるとき、票田の相続税を払っただろうか?

政府・与党は いま、中小企業の後継者の相続負担を軽減する 「事業継承税制」 の導入に向けて検討に入った、 と報道されている。
非上場の同族会社株を相続する場合は、課税価格を8割減額するという。
後継者難の中小企業の廃業を食い止め、雇用機会の確保と固有技術の継承につなげる狙いとのこと。
工場などがある事業用地の課税価格が8割減額できるようになったのも、つい最近だ。
遅きに失している。


バブル絶頂期のころ、どれだけの中小企業後継者が泣いたことか。
窮地を悪知恵で切り抜ける才覚の乏しい まじめで勤勉な後継者が、あるものは 身上を潰した身の狭さに自殺し、あるものは たちの悪い金融業者に追いまくられて家庭崩壊し、またあるものは やむなく相続税の延納という方法でその場を逃げたばっかりに、その後の会社経営が働けども働けども楽にならない悲哀を ずーっといまだに引き摺っている。

ある公認会計士が、相続税を払う目処が立たずに頭を抱えて相談に来た中小企業後継者に こう言った。
「バブルのときに相続された方は、詐欺に遭われたとしか 言い様がないですね。」
それだけ。
以上は、実話中の実話である。


かって ある二世の政治家が、こう言った。
「窮地を切り抜ける才覚のない中小企業後継者は、脱落してもらうしかありませんね。」
この政治家に言いたい。
「それなら 自分も税引き後の票田で勝負して 当選して来い。」
政治家が ダーウィンの自然淘汰説は正しいと信ずるなら、いまさら相続税の緩和などやるんじゃない。
それこそ不公平税制だ。
自殺した中小企業後継者が浮かばれまい。
やるなら、過去20年遡って 緩和した差額を還元しなさい。

17年前、私は悩んだ。妻と一緒に悩んだ。身の細るように悩んだ。
やむなく 延納という方法を選択したが、これから20年 毎年々々 バブル絶頂期の相続価格の倍の評価額で 決まったリース料を払い続けなければならない。
そう リース料だ。リースアップの保証もなく・・・
そのとき はっきり悟った。この土地は国からリースで借りているんだ。
この会社の大株主は国。
日本は、社会主義国だ、と。