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赤福の教訓

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創業300年の餅菓子の老舗 「赤福」が 消費期限を偽って表示・販売したことが、明るみになった。
たぶん、内部告発だろう。
赤福の若き社長は、大きな、根本的な間違いをしている。
「二兎追う者は一兎も得ず」 ということだ。


いまは 『お詫び』 だらけで ホームページを開けることはできないが、『作ったその日の内に味わっていただく』 ことが創業以来の基本理念と 広報してきた。

10月13日の記者会見で、赤福の社長は 『せっかく買おうとしていただいているお客様に売り切れという失礼なことがないように』(たぶん売れ残りも)冷凍・再包装して出荷してきた、と弁明している。

生鮮食品生産の ほんの一部を担わせていただいているに過ぎない当社ではあるが、生ものの製造・管理・流通が いかに大変な仕事であるかは、理解している。

赤福が “製造日から2~3日しか持たない生もの” であることを うたい文句にするのなら、ほんとうにその気があるのなら、過去の統計や天気予報など あらゆるデータを駆使して その日の製造量を決め、その商品が品切れになったら 『売り切れご免』 とするべきである。
本来、生ものというものは、そういうものであろう。

また、やっぱり 食べ物は作りたてが旨いのも、事実だ。
消費者は、気まぐれで わがままである。
『作ったその日の内に味わっていただく』 という 創業以来の基本理念を貫くのであれば、赤福をお伊勢さんで買い損なった客や お伊勢さんに行きもしないで赤福を食べたい客を 100%満足させる方法は ないものとして、経営に当らねばならなかったのであろう。

消費者側にも、問題がある。
誤解を生むことも承知で 言葉の勢いで言うならば、「腐らないものは生ものでない」 との認識が、消費者に なさ過ぎる。

「腐りかけが ほんとうは旨い」 という事実があることも、ちょっと食べ物に詳しい方ならご存知だろう。
腐るということの重要性を、いまの日本人は知らな過ぎる。


赤福は、多くの日本人が、もちろん私も、こよなく愛す 「おみやげ」 である。
早く立ち直って欲しい。
信用を築くために100年かかっても、信用を失うのは一瞬。
今回の赤福騒動は、まさに このことを見せつけた。

ものづくりに携わるもののひとりとして、肝に銘じなければならない 教訓である。