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いま政治がしっかりせねば

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JR琵琶湖線の新快速車中で、天井垂れ下がり広告が目に入った。
進化するとは、フィットすること 」 という、ホンダFITのコマーシャルである。


地球上では、大きくなることだけが、進化ではない。
大きさ、かたち、性能・・・
全てを地球環境に適合=フィットさせなければ、生き残れない。
限られたスペースと、限られたエネルギーをうまく利用する。
その知恵を備えたものが、進化の頂点に立つ。
進化とは、フィットすること。
地球のクルマが、またひとつ、新しい進化をとげる。



コマーシャルを超えた 何かが伝わってくるコピーだ。


われわれの生活は、人間によって作られた装置やシステムで取り巻かれており、もはや この man-made world から抜け出すことは不可能である。
だからこそ、その元となる技術(とりわけ 科学を社会に適用させる工学)が、しっかりせねばならない。
いま、技術(と言うよりも、技術に導かれた結果)が、毛嫌いされる傾向にある。
現に、本来 人に奉仕せねばならない技術、人を安らかにせねばならない技術が、人を苦しめている。

それは、技術者の社会と向き合う姿勢が、とりわけ60年代後半から つい最近まで、人間と機械の調和をなおざりにし、卑近な喩えながら 「平均的な家庭の主婦の生活が電動缶オープナーによって良くなる」といった、全体のバランスを無視した幻想に 立脚していたからだろう。
つまり、あまりにも儲け主義に走りすぎていた。
「人間が機械に助力を求める必要は、どこにあるのか」 の正しい認識が お粗末だったということである。

昭和48年のオイルショックの頃、日本の産業界に環境意識が高まった時期があった。
低燃費エンジン、水処理装置、集塵システム、自然エネルギー利用など、中には立派に花咲いている分野もあるが、ぱっと咲いて いつのまにか消えていった技術が 枚挙に遑ない。
その理由は、一にも二にも 「儲からない」 からだった。
民間に任せていたのでは、仕方ない。
それが市場原理というものであろう。
だからこそ、政治があるのだ。
「オイルショック」 を契機に、環境・エネルギー政策を見事に 「フィット」 させた国がある。
デンマーク。
日本も あの時 未来を見据えた政治があったなら。


今からでも 遅くはない。
過去の歴史が教えてくれるように、戦争は 食糧とエネルギーの奪い合いが原因だ。
日本が戦争に巻き込まれないためにも、政治が 技術に正しい方向を指し示し 未来を見据えた技術を奨励して、地球環境に適合した食糧計画・エネルギー計画を 成就せねばならない。
急務である。正しい技術立国・日本をつくるのだ。
いま、政治がしっかりせねばならない。