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ハリウッド映画から見えるアメリカ

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ブッシュ大統領の失政で、アメリカ大統領選は民主党有利と伝えられている。
その民主党指名レースで、ヒラリー・クリントン氏とオバマ氏が激しく争っている。
どちらが大統領になっても、初の女性大統領 あるいは初の黒人大統領である。

まことに個人的な感情であるが、私の中のアメリカは、粘り強くて大らかで陽気な白人の男性社会であった。
その社会では、女性は フェミニストの対象として存在し、黒人は 庇護の対象として存在していた。
そのアメリカの主役が、女性あるいは黒人に替わろうとしている。
いや、もうすでに 替わっているのかもしれない。


ハリウッド映画の黄金期を代表する名匠に、フランク・キャプラ という監督がいた。
1946年製作の 「素晴らしき哉、人生!」という 彼の作品を観られた方も おられるだろう。
私は5年前にレンタルビデオで観た。心のそこから 「人生って素晴らしい」 という思いが込み上げてくる映画だ。
家族、隣人、良心の人・・・そんな普通の善良な人々を、限りない慈しみの眼で スクリーンに映し出している。
私は、この映画から 良心的に生きることに 大きな励ましを得ることができた。

その後の一時期、私はキャプラ作品に没頭した。
1961年製作の 「ポケット一杯の幸福」 という作品も、私を夢中にした。
こんなに幸せにしてくれる映画を作ってくれたキャプラ監督を、心底 尊敬した。
貧しい移民の子として苦労を重ねた キャプラならこその作品であろう。

艱難辛苦の末に勝ち得た 物心共の 「ゆとり」と そこから来る自信、それが 過去のハリウッド映画の源だったと思う。
アメリカには、あんなにあったかい映画を作れた時代があった。

翻って、いまのハリウッド映画は、私を満たさない。
いや、もうすでに 私の心の中のハリウッド映画なるものは、存在しないのかもしれない。


20世紀は、まちがいなく アメリカの世紀だった。
だれもが感じているいるように、21世紀は そうではないだろう。
歴史が教えるように、どんなに栄華を極めた国でも 100年も経たないうちに 萎んでいく。

それでも なお、私の気持ちの中で、アメリカは、ヌガーチョコを恵んでくれ ユニセフミルクを配ってくれた あの豊かなアメリカ、ハリウッド映画を通して少年の夢を掻きたててくれた あの善良なアメリカで い続けて欲しい。