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或る少女の投稿から

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6月20日付け 朝日新聞朝刊の投書欄に、10歳の少女が 「まじめな父は頑張る公務員」 と題して こんな投稿をしている。


15日の声欄・若い世代で、「 居酒屋タクシー 」 についての小学生の投稿を読みました。
「 公む員の人たちだけにタクシー券をあげるのは不公平 」 という意見でした。
私の父は公務員です。 たずねてみました。

父はタクシー券をもらっていましたが、終電までに終わらないたくさんの仕事がある時のためだそうです。
夜になってもたくさんの仕事が入ることがあるようです。
父も頑張っていますが、山ほど仕事があるそうです。

たしかに不公平だ、公務員だけずるい、と思う方もいると思います。
でも、私の父は会社員と同じようにまじめに働いていて、みんなの税金を湯水のようにつかっていません。

公務員の中にはみなさんが思われるような悪い人もいると思いますが、みんながみんなそうではないことを
理解して欲しいのです。



私は、この投稿を読んだとき、この少女の 父に対する愛情と誇りに圧倒された。
そして、この少女の父が いま騒がれているような公務員でないことを 直感できた。

5日遅れではあるが、こんなにすばらしい 「 父の日のプレゼント 」 があるだろうか。

いま 世の中は、官僚ということばを正確に理解もせずに 国家公務員も地方公務員も 学校の先生すら ごちゃまぜにして 「お役人」という漠然とした範疇にひっくるめて、「悪代官」 の汚名を着せようとしている。

これは、日本人の持つ婉曲な物言いの ひとつのたちの悪い弊害であろう。
ほんとうに叩かねばならない 「 悪代官 」 を直接名指しで言うのではなく、「どいつもこいつも」式の 間違った敷衍化なのだ。

まじめに公務に励んでいる公務員が大勢いることを、そして そういうまじめな公務員に どれほどお世話になっているかを、どうして理解しようとしないのか。

税金で働いているのだから、公務員が国民に尽くすのは 当たり前 というのは、あまりにも 「庶民の驕り」に過ぎるように 私は思う。

庶民と 「 役人 」が こんなとげとげしい関係で、日本の国が良くなるはずがない。

投稿の少女のような娘を持つ 公務員のお父さんは、そばにこんな良き理解者がいてくれて 幸せである。

いまはつらいだろうが、彼女の投稿に 大きくうなずく “庶民” もいることを 知らせてあげたい。
元気づけてあげたい。

きっと、いい父親なのだろうな。