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夏逝く日

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北京オリンピックも終わり、同時にあの息苦しい暑さの夏が 逝きました。
もう 朝晩は、秋の風です。
宴のあとは 寂しいものですね。
女子ソフトボールの金メダルは、このオリンピックでもっとも輝いていました。
素晴らしい試合を見せてくれて、ありがとう。


晩夏。
一年で いちばん悲しくなる季節です。
古臭い話になりますが、この季節が巡ってくると 決まって思い出すメロディがあります。
舟木一夫が歌っていた 「高原のお嬢さん」。
夏が逝けば 恋も終わると あの人は いつも言ってた・・・

白い髪が美しい夫人が、地下鉄の前の席に坐りました。
知らず知らず、そのご婦人の若い頃の姿を 想像してしまいます。
この方も 若かった頃 燃えるような恋をしたんだろうな、余計な空想です。

思い出というものは ときとともに美化されるものですが、こと 恋心の想い出だけは 時を経れば経るほど 苦い感情だけが募るもののようです。
青春は、心に傷を負うことなく 通り過ぎることはできない、と同時に、人を傷つけずに 過ぎ去ることもない。
そうかもしれません。案外、その人はなんとも思っていなかったのかもしれません。

青春のとき、愛唱したワーズワースの詩。

 草原の輝けるとき 花美しく咲くとき 再びそれは還らずとも
 嘆くなかれ その奥に秘めたる力を 見いだすべし


この詩が教えてくれた 「奥に秘めたる力」の意味が、40年の歳月を経て やっと少し判りかけてきました。

夏逝く日に 似合う花があります。
純白の むくげの花です。




白木槿 夏華も末の 一二輪 (召波)