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製麺ロール:ノンカスリ・ロール



「カスリの要らないロール」 開発経緯

掃除のしやすさや衛生面から考えても また シンプルな構造上からも ロールカスリは無いに越したことは
ありません

ロールカスリを無くすには ロール表面が 圧延する対象である麺に対して 剥がれが良くなければなりません

ところが 「剥がれが良い」という特徴は 「食い込みが悪い」という短所でもあります
ロールのもっとも重要な必要性質である 「食い込み性」を どこまで無視するか また「剥がれ良さ」を追求
するあまり ロール自身が脆くなったり 周速の大きいロールでは麺帯の蛇行が問題になったり 短時間しか
剥がれ良さを持続できなかったり といった問題が生じてきます


セラミックロール 左の画像は セラミックロールです

昭和62年頃に 京セラ株式会社が開発し 旧トーキョーメンキが
実機に組み込みました

剥がれよさは優秀で “ノンカスリロール”を実現しましたが
硬い異物を噛んだときに ポロリと欠けるなどの脆さが
大きな欠点です

価格面でも採算性が合わず 広く普及するまでには至りません
でした


剥がれ良さで まず一番に考えられるのは テフロンコーティングですが 麺機業界では昭和50年代の
初め頃から ミキサーのボディ内面や羽根に 例えばケミフロン(ケミー・コート工業の商品名)などの
フッ素樹脂コーティングを施して 麺生地の付着を防止することが行われていました(練り不足を招いて
結果的には不評でした)

この流れを受けて 当社では フッ素樹脂コーティング(テフロンコーティング)をロール表面に施し カスリの
要らないロールを試行錯誤しました

しかし コーティングそのものの密着性が極めて悪く テフロンコーティングロールは短時間でコーティングの
やり直しをしなければなりませんでした

その後 ノンカスリロールがクローズアップされるのは 食品の安全性の認識が異常なまでに高まった
ここ10年以内のことです

テフロンコーティングの技術も進歩し 現在では 問題点は残っているものの ノンカスリロールは実用化され
かなりの普及を遂げています


表面拡大写真 左の画像は マテッドロールと呼ばれる ロール表面の拡大写真
です

このロールにテフロンコーティングを施すと 適度な食い込み性を
持ち かつ テフロンコーティングの密着性も改善されます

ただし 表面がざらついているので 仕上ロールには適していません


フッ素樹脂系コーティングのノンカスリロールは 食い込み性がさほど問題にならない “多加水”うどんライン
では その威力を発揮しますが 麺帯の研摩性の高いそばラインでは コーティングが早期に剥離してしまいます

特殊仕様フッ素樹脂コーティング処理の製麺ロール

剥がれ良さに関してのみ言えば いまのところ フッ素系コーティング膜が最も適しています

製麺ロールとして このフッ素系コーティングを採用するに当って一番の問題点は コーティング膜の早期剥離
でした

近年 この問題を克服する技術が生まれてきており あまたあるコーティングメーカーの中で数社が フッ素樹
脂系コーティングロールを 製麺ロール用として実用化しています

下図は 加工工程の概念図です



メッキでもコーティングでも 使用条件により時間の差はあるものの いずれは剥げていくものです

食い込み性の悪さというデメリットと同時に 再コーティングまでの期間 手間と費用の考慮が
ノンカスリロールの採用の 重要な決め手になります

このロールが製麺ラインに採用されてから まだ日が浅く その価値判断は かなり年月を経過してからの
ことになるのでしょう

ノンカスリロール