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武藤奨学金

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学生時代、武藤奨学金をもらっていた。
鐘紡からしきゅうされる、返済義務なし紐付きなしの奨学金だった。
月2万円だった。
国立大学学費が月千円、下宿代一畳あたり月千円の時代である。
鐘紡から、ということ以外、武藤という名前の意味すら知らなかった。
奨学金返済に苦しむ今の若者のニュースを聞くにつけ、罰当たりだったと恥じる。
同時に武藤奨学金のような民間企業からの奨学金を認識しにくい今の日本社会を、不甲斐なく思う。
60年経った今、武藤とは 「紡績王」 と呼ばれた武藤山治のことではと気づき、武藤山治を詳しく調べている。
彼は明治大正昭和初期の人、社員優遇を最善の投資と考えた実業家。
政財界の汚職を追求し、帝人事件の告発中に暗殺された。
政商や御用新聞記者の腐敗を暴く言論人でもあった。
主権者たる国民の政治意識の向上を目的に彼が設立した 「國民會館」 は、今も大阪城近くの住友生命ビル内に健在だ。
「武藤山治記念室」 もある。
長年の不知の償いに、ぜひ國民會館を訪ねてみたい。
福沢諭吉の教えを直接受けた彼の 「一国の盛衰はその国の政治の良否による」 という精神に触れるためにも。