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京田辺大御堂の十一面観音

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NHK BSに 「京都人の密かな愉しみ」 が戻ってきた。
その一回目の冒頭で主人公・洛(みやこ)が関空タクシーで立ち寄った場所、京田辺大御堂観音寺。
その本尊・十一面観音が大写しになったとき、どっと懐かしさがこみ上げてきた。
早逝した学友と19歳の秋、南山城の古寺を訪ね歩いて最後に立ち寄った朽ち堂で、すっくと佇むこの大御堂十一面観音像を、触れんばかりの距離から拝した、あの震えんばかりの感動が蘇ったのだ。

ドラマの中で笹野高史演ずる住職が洛(穂志もえか)に十一面を大まかに説明してから、こんな話があった。
[住職] 菩薩ちゅうのは、大体お顔もお姿もしゅっとしたはる仏様でなぁ、あまり感情を表に出さはらへん。そやし、笑てる顔も裏側に隠したはる。
[洛] 十一面にカウントされない本当の顔は、どういう意味を持った表情なんでしょう?
[住職] 頭の上の十一の顔がぜーんぶ混ざったもんやろな。みるもんがどうとでもとれる表情、それが理想的な仏の顔なんやろな。知らんけど。わしの個人的意見やがな。
[洛] とっても日本的ですね、曖昧で。
[住職] こんな上手な顔できる日本人は、生粋の京都人ぐらいやろなぁ。
[洛] 京都人?
[住職] あっ悪口と違いまっせ。わしも京都の真ん中で生まれた人間やからなぁ。お嬢さんも京都のお人やったらわからはるやろ。
[洛] まぁ、はい・・・
[住職] あの街で生きていくには、こういう顔できんと、なかなか・・・

すぐにカッとなり顔に感情がむき出しになる自分は、80歳を超えても、いや死ぬまで、真の京都人にはなれそうにない、と。
もう一度訪ねられるなら、今時分がいい。
大御堂観音様は、一面の菜の花畑で迎えてくださるはずだから。