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再び、倒木更新

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11年前に このブログに載せた 『倒木更新』 を、省略編集して、再び 掲載させていただく。
倒木更新という言葉に、最近とみに 惹かれだしたからだ。


13年前(1995年)の ある新聞のひとこと欄に、倉本聰は、次のように書いている。
   よくカナダの太古の森に行くんですが、「倒木更新」 と言いまして、古い木が倒れた上に新しい木が芽生えて、何百年、何千年の森を作っている。
   我々のやっていることは、未来へつなげるための 「倒木更新」 ではないかと思っております。
   いま植えた木が大木になる姿を、ぼくらが見たいと思ってはいけないのではないか、死んでずっと先のことではないかと思います。

倒木更新。
こうつぶやくと、ちょうど 『風のガーデン』 での緒方拳の、悔恨と許しとの揉みくちゃの末に生ずる、陽だまりのような穏やかな安らぎをおぼえる。
宗教者が 「南無阿弥陀仏」 と唱えるように、そう唱えるとき ふゎーっと降り注ぐ陽射しのように、「倒木更新」 という響きは、私にとって 念仏のようでもある。
これでいいんだ、もう十分ですよ と、囁いてくれるようなのだ。

倒木更新。
倉本聰から教わった、私の宝の言葉である。