YAMADA IRONWORK'S 本文へジャンプ
ピン札

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小銭がサイフに見つからず、一杯のコーヒー代に仕方なく一万円札で支払った。
返ってきたお釣りの札は、皆ピン札だった。
よく来るこの喫茶店が、ますます好きになった。

月謝袋に皺のついた五千円札を入れかけていたら、家内がアイロンで皺を伸ばしてくれた。
ピン札のようになった。

札には、顔がある。

「札には顔がある」 で思い出すのは、テレビドラマ 『北の国から』 の名場面だ。
泥のついた一万円札の話。
息子が純と、娘が蛍と同じ年だったせいだろうか、『北の国から』 のいろんなシーンが、このごろよく夢に出てくる。
古尾谷雅人のトラック運転手が、純とダブった自分にこう言うのだ。
「ピン札に泥がついている。お前のおやじの手についた泥だろう? オレは受け取れん。お前の宝にしろ。貴重なピン札だ。一生とっとけ」

『北の国から異聞・黒板五郎独占インタビュー』 (講談社) を買った。
あの名場面の内緒話が載っている。
が、ここでは語らない。