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出雲崎にて

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越後・出雲崎へ来た。
良寛記念館を訪ねるためだ。
家を出てから6時間半かかった。
出雲崎に行けば良寛さんに近づける、そんな気持ちが働いていた。

作家・立松和平は、最晩年に良寛に関する書物を二冊出している。
『良寛のことば・こころと書』 そして 『良寛・行に生き行に死す』。
立松和平も、良寛さんの生きざまに自分の最晩年の理想をみていたのであろうか。

長引く梅雨の終焉のような陽射しが、記念館脇の夕日の丘公園を包んでいる。
正面に良寛の母の故郷・佐渡、右に弥彦山、眼下に良寛の生家橘屋の屋敷跡・良寛堂、そして左手に、北前船の寄港地として栄えた名残の妻入りの町並みが見下ろせる。
幼いころに裕福で大人になる前に傾いた家の子は、おのれの大愚を早くに知り、人の苦しみの声を聴く優しい耳を得たのか、と想像する。

良寛さんのような字が書けたらいいなあ。