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新薬師寺

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盆連休の最終日、娘夫婦が私たちを奈良へ連れて行ってくれた。
車の運転をやめた私たちの可動域を少しでも広げてやろうという、子心。

どこへ行く?と問われて、少し考えて思いついたのが、53年前に父と訪ねたことのある新薬師寺であった。
父と観光寺に行ったのは、後にも先にもあの時だけである。

新薬師寺には、私の好きな神将たちがいる。
東大寺戎壇院の四天王像と同じころの作の同じ塑像で、わが国最古の十二神将だ。

唐招提寺金堂に次いで好きな天平建築物である金堂、その高い化粧屋根裏の窓のない堂内は、薄暗さを土間と大きな鏡餅のような土壇が跳ね返す光線で、けっこう明るく感じる。
大きな瞳の薬師如来をとり囲む神将たちは、怒髪天をつく形相のなかにどこか愛嬌があり、婆姿人間の干支の守護神にふさわしい。

家内と私の干支神である 「迷企羅大将」 の6寸模造を、この日を忘れないために買って帰ることにした。