文字サイズを変える |
|
かって南大寺と呼ばれた寺が、東大寺や西大寺などの大寺がひしめく奈良にある。 南都七大寺のひとつ、大安寺である。 寺によると、聖徳太子が平群郡額田部に熊凝精舎(くまごりしょうじゃ)を創建したことに始まる。 やがて百済大寺、高市大寺、大官大寺(おおつかさのおおてら)と名を変え、平城京に移って大安寺となった。 由緒ある官立寺院であり、その役割の一つが、悪病難病封じであった。
JR桜井線の京終(きょうばて)駅から西へ6千歩くらいに位置する大安寺は、高さ70mを越す七重塔2基を擁する大寺であった昔の面影はない。 が、威厳あるたたずまいで、今もひっそりと古を伝えている。 のんびりした、ほっこりする いい雰囲気の境内である。
いま、ふだんは御簾がかけられて見ることのできない本尊十一面観音菩薩立像が公開されている。 この秘仏の前で 家内と二人分の「がん封じ」を祈祷してもらった。 像高1.9mの穏やかな面差しの この秘仏に祈れば、がんの病など近寄るはずがない、そんな安心感に浸れた ひと時であった。
|