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最上川下流域、それが庄内地方のイメージだった。 実際に庄内地方を訪ねて このイメージは、地図上のものでしかないことがわかった。 川は少し離れると見えなくなるが、山は大きく移動しても眺めることができる。 北に鳥海山 南に月山を遠望できる 日本海に面した大きな平野、これが実感の庄内地方だ。
庄内地方を旅してみたい、ずーっと抱いていた願望だった。 11月の末に念願かなって、岸壁を走る鼠ヶ関あたりの羽越本線の車窓から 荒れた日本海の時化波に胸を躍らせながら、北の庄内地方に向かった。 この旅の大きな目的は三つ、酒田の土門拳記念館、鶴岡の藤沢周平記念館、そして羽黒山国宝五重塔。
今年一番の荒れ吹雪の旅となった。
庄内地方は、古くから畿内とのつながりが強い。 北前船による上方との交易が生活文化にも浸透し、酒田も鶴岡も、関西人にはなんとなく懐かしい雰囲気を醸している。 酒田は大阪、鶴岡は京都に擬すことができそうだ。 言葉も、京ことばに似たところがある。
庄内は、たべものが旨い。 まず米、庄内藩の治水・防砂政策で この地を日本有数の米どころに押し上げた。 水も良いから 酒も絶品、それに海の幸、そして野菜、柿、リンゴ、豚、牛… ラーメンもいい。
この旅は 天候には恵まれなかったが、土門拳記念館では目当ての「生誕110年 古寺巡礼名作セレクション」を堪能し、藤沢周平記念館では「藤沢周平と米沢 特別企画展」に遭遇でき、羽黒山五重塔では内部特別拝観が許されるという、幸運の連続であった。 酒田も鶴岡も、京都からずいぶん遠い地ではあるが、私にはとても居心地のいいまち、魅力的なまちである。 もう一度 訪ねる機会が、あるだろうか。
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