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びんずるさんにお願いする体の部位が、ことし三つ増えた。 けさも、六角堂の右脇に祀られている びんずるさんのあちこちを撫でてきた。 右顎関節と喘息の胸は 去年からの続き、右肩と右ひざとバネ指の左手が ことしから。 ことし増えたのは、みな家内の分だ。
お願いする箇所が多すぎて、お聞き届けいただけないかもと 思案しながら…
びんずるさん、あちこちの寺に祀られている賓頭盧尊者の撫で仏。 たくさんの願いを一身に受けて、あちこち撫でられて、テカテカに光っていて、鼻など出っ張ったところは摩滅して…
迷信と不潔という理由で びんずるさんを避けていた頃、賓頭盧尊者像は恐ろし気だった。 痛いところと一生つき合わねばと思える年齢に達したいまは、愚痴を聞いてくれるお年寄りのような親しみを、この像に感じる。 びんずるさんの体を撫でながら、歳をとるのも ちょっといいもんだなぁ、と。
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