平岡養一の木琴 |
文字サイズを変える |
|
通崎睦美(つうざきむつみ)さんの木琴演奏会が、京都文化博物館の別館ホールで催された。 クラシックギター奏者の永田参男(ながたみつお)さんとの、 ハーモニーコンサートである。
コロナのせいで、長い間 こういうコンサートから遠のいていた。 会場が近くでもあり、コロナ対策がしっかりとられている とのことで、こわごわながら 聴きに出かけた。
小学校の低学年の時だった。 講堂で、平岡養一氏が 木琴演奏を披露してくれた。 初めて、音楽は美しい と感じた瞬間だった。
通崎さんの木琴の 魔法のような音色に うっとりしながら、永田さんの 出しゃばらないギター伴奏に 音の深さを感じながら、60分の演奏会は 瞬く間に過ぎていった。
通崎さんが演奏に使っていた木琴の腹に、「Youichi Hiraoka」の文字が見て取れた。 平岡養一氏が初演した『木琴協奏曲』を 通崎さんが平岡氏の木琴で演奏したことがきっかけで、通崎さんが その木琴と約600点にのぼる楽譜やマレットを譲り受けた、という。 通崎さんの演奏と、65年前の小学校講堂での 平岡養一の演奏が、タイムスリップしたように 重なった。 懐かしさが、どっと こみ上げてきた。
通崎睦美さんの とろけるような演奏とともに、平岡養一の木琴と再会できた 貴重なひとときであった。
|
|