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学術会議問題に思う

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菅義偉氏が総理になったとき、ちょっと期待感があった。
けっこう まじめそう、安倍さんより マシかも、と。
ただ ちょっと硬すぎるなぁ、良質なユーモアは望めそうにないなぁ、とは感じていた。
70歳を過ぎてるんだから、もうちょっと肩の力を抜いたそぶりでも 見せればいいのに、とか思っていた。

叩ぎあげ という言葉は、自分から言う文句ではない。
本人が醸しだすオーラから 人さまが そう評価して はじめて、「たたき上げ」という言葉が生きるのだ。
叩ぎあげ発言のころから、あの期待感が 徐々に薄れてきた。

さて、学術会議問題である。
一般人には たしかに、学術会議というものが よくわからない。
その人選も含めて、オープンにするのは 悪いことではない。
「組織をより良いものにしていこう」と 政府と学術会議側が話し合うのは、たいへん結構なことだ。

菅首相が常々言っている「国民に丁寧に説明していく」という言葉が本心なら、どうして 除外された6名の人選理由を明らかにすることが「説明できることとできないことって あるじゃないですか」という菅氏の発言に つながるのか、わたしには どうしてもわからない。
いいじゃないですか、「いまの政府に不利な意見を つねづね吐いている連中だから 除外したんだ」 と言えば。
それに対して そりゃぁ、猛反対の声が上がることだろう。
いや、そりゃそうだ いまの政府は国民に負託されてるんだから その理由は正しい、という人もいるだろう。
そこからが 話し合いのはじまり、なんじゃないかなぁ。
民主主義って そういうもんでしょう、時間がかかるんです。

除外された6名の人たちが どんな意見を持っているのか、わたしは よく知らない。
ただ、加藤陽子教授の著した『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』を読んで、日本近現代史を より深く理解するには 優れた本だなぁとの読後感を持った。
高校生などの若い人たちにも ぜひ読んでもらいたい、そんな感想を抱いた。
菅首相は、この本を読んだことがあるのだろうか。

菅氏の(たぶん)まじめさは、悪いことではない。
ただ、もっと懐の深さを(それがあるなら)示してもらいたい。
学術会議問題で思うことである。